ナルトでお題
□02.お土産話
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「うぎゃー。痛ぇってばよー!」
べしゃり。そんな効果音と共に少年特有の少し高い声であたり一面に響く。だるい身体の一部を動かして声の発生元へと視線を傾ければ金色の子供がペタリと地面に座り込んで痛そうに顔を押さえ、その隣で漆黒を纏う少年と、桜色を伴った女の子が呆れたような顔付きで立っているのが目に入った。だが一言二言、口を動かした後には金色に手を差し伸べていたけれど。
「ぬるいな」
小さく、でもしっかりと耳に届いた冷淡な声をシカマルは聞く。
まさに今自分が考えていたことと同じで、自分の思考が形になってしまったのかとさえ思えるようなタイミング。でもそれは明らかに自分の声ではなくて、聞こえたところも別の場所。
黒、ピンク、金の眩しいくらいのコントラストを視界から外し、真っ直ぐに基準を合わせれば盛大に広がる青い空が目に入る。ああ、彼も仮面の下はこんな素敵な色をしてたっけ、と思えば自然と笑みが浮かんでくるのが自分でも分かった。
「随分とゆっくりなご様子で」
「綱手に愚痴ってたからな」
クスクスと漏れる笑みの音ににシカマルはふぅと一息吐き、常から悪いと言われている目を自分の居座っている木の上部へと向ければ、未だ口元に手を当て笑い続けている金色の姿。
同じ金色を携える先程の少年とは同じ容姿なのに、纏う雰囲気はまるで白と黒。
無邪気で無垢な様子は微塵も感じられず、静寂に身を漂わせる月のよう。現に彼は月の出る夜にしか現れぬようなものだから。
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