七班

□優しくて格好良くて強い人
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 夏も終わりに近づいてきた頃、身を蝕むような強い光と強い暑さがだんだん和らいできたと気づかされたのは肌に感じた風だった。夏真っ盛りの風は風自体も参ってしまっているような重苦しい熱風だったが、今感じるのは身が軽くなったように肌を滑る風で、五月蠅く鳴く蝉も落ち着かせる涼しい風。

 秋が来るよ。

 はしゃぎ合ってそう囁き合っている様な風にナルトは微笑むと、自分の場所と豪語している縁側へと自分のポーチと錆びれた缶箱を持って座ったのはつい一刻程前。長年使った忍具ポーチが所々破れてしまっているのを直そうと針箱と言う名の缶箱を開き、指先に感じる微かな痛みと赤い液体に我ながら如何なものかと渋顔を作りながらポーチに針を通し始めたのが数分前。座ってから始めるまでの間はゆっくりと流れる時を楽しんでいた。
 徐々に深緑から黄金へと変化を見せるであろう木々花々をこの目で見守ろうと、数週間後にはもう変わっているのだろうと、そう思いながら風に揺れるみんなを見ていた。

「やっと、始めたのね」

 笑みを含ませた女性の声がナルトの隣へと腰掛ける。
 強い意志と共に流れた桜色の長く綺麗な髪は何年もの間しなやかに彼女の背を流れる事は叶わなかったが、共に歩んだ先である今は再び綺麗に彼女の背を飾っていた。

 怒られちゃったからとナルトが苦笑しながら呟けば、確かにそうねとサクラは本当に楽しそうに笑う。

「見事なまでのストライクだものね」
「結構ヒリヒリするってばよ」



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