七班

□共に歩む巡る季節
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 ふとした拍子にぶらりとしたくなる。それは食事中であったり修行中であったり、様々な事項であるが今回は洗濯物を干している最中であった。ぎしりときしむ馴染んだ物干し竿に任務の功績という名の汚れを払い落とした服は青空に映えて見えて、単純なコントラストに惹かれた。

 散歩でもいってみるか‥

 腕に掛けていた残り少ない洗濯物を床に放り投げると軽い上着を引っ掛けて漫然と靴を履く。忍者相手に鍵をかける必要もないなと、マンセル仲間から執拗なまでに言われた鍵をかけるという事柄はすっかりと頭から抜けて家を出る。ぼろっちい、でも愛着のある階段を下れば暖かい空気にナルトは目を擦る。

「どおりで目が痒いわけだってばよ」

 春はもうこんなにも近くに来ていた。

 ぱしぱしと疼く目をなんとか誤魔化しながら吹く風に歩けば目に入ってくる光景に自然と口元が緩むのが判った。芽吹き始めた梅の花は微かな香りを漂わせナルトの鼻をくすぐる。巡る季節は昔の記憶をも思い出させ、こんな梅の季節に下忍の頃のドベ加減をマンセル仲間に咎められたことを思い出す。
 依頼人の庭に咲いていた梅の花があまりにも綺麗で、手を伸ばしたらいつの間にかもぎ取ってしまっていた。それを見つけたサクラに怒られサスケには呆れられて、カカシには依頼人に頭を下げさせるという己の不祥事にめいっぱい迷惑をかけたのだ。寛容な依頼人は笑って許してくれたけれど、あの後は言うまでもなく―――。



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