七班

□指輪と金色と黒色と桜色と *
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「サークラちゃん」
「あらナルト。どうしたの?」

 後ろから掛けられた声は馴染んだ声色で、何度聞いても成長したのに成長してないのだなぁと感じてしまう。それは身体は大きくなっても中身は昔のままなナルトであるからかもしれないけれど。
 ニッコリと屈託無く笑うナルトの笑顔に幾度と無く救われてきたことだろう。

「これあげるってば」

 言葉とは裏腹に差し出されぬ手にサクラは首を傾げる。視線で訴えてみてもニコリニコリと笑うばかりで何も行動にうつしはしない。

 一体何なのよ。そんな言葉を飲み込まされたのはナルトの暖かな手に左手を取られた所為。いつも暖かいこの子の掌はとある可愛い九本の尻尾をもつ動物のおかげか傷一つ無く、いつもキレイだなと思うのだ。女の自分よりもキレイだなんてムカつく、そんな感情は一切わかない。

「ぁっ‥」

 取られた左手のとある指に感じる冷やかな感触。
 それは淡いピンクの宝石がはめ込まれた金色の指輪―――

「これで、サクラちゃんはオレのだってば!」

 高らかに言う声は本当に嬉しそうで。

 これは属に言うプロポーズですか、と聞いてしまいたくなるがそんなことは野暮で、たとえ聞いたとしても普通にそうだってばなんて返されるのがオチ。

 嗚呼、ホントもう

「‥大好き」

 照れた金色の青年が物凄く愛しい‥



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