彼女と工場地帯と俺。
□7月の仲違い
2ページ/6ページ
-ねぇ、聞いた?あの"無機物女"、別れたらしいよ-
-知ってる知ってる!…あれは絶対続かないって思ってたし-
-俺だったらわかんねぇぜ?-
-あんたじゃムリムリー(笑)ってか、"人間"じゃ、無理だって!-
-あ、シーっ!彼氏…元彼来たよ!!-
大学に来ればあちこちで要と俺の話が飛び交う。
…専ら要が悪者扱いされている噂ばかりだ。
もう恋人でも何でも無いが、やはりそういう噂話は心地良いものではない。
しかも、今まで要を取り囲んでいた友達ですら悪口を言う始末。
「てめぇら、何コソコソ言ってんだよ!!」
突然怒号が教室を包む。
声の主は俺ではなく…まにょさんだった。
「"無機物女"だ?"人間じゃだめ"だ?何勝手に言ってんだっ!てめぇらだって好きな物の1つや2つあんだろうが!!!」
「要のこと、何にも知らねぇで言いたいこと言ってんじゃねぇよ!!」
辺りはシーンと静まり返る。
「…あんたも…あんただ…」
怒りの矛先は俺にも向け
られた。
「…要のこと…何にも知ろうとしなかったくせに…!」
その後まにょさんは教室を飛び出していってしまった。
その日1日、他の学生は勿論俺もすごく気まずい雰囲気だった。