彼女と工場地帯と俺。

□君の姿
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銀ちゃんからメールが来た。










一言




『別れよう』





それだけの文字。









世界中で文字ほど有機物に近い無機物は無いと思う。




むしろほとんど有機物だ。





じゃなきゃ誰かをここまで傷つけるような事をする訳がない。







あたしは銀ちゃんに呆れられたんだ。




そんな事は知っている。






いつもバカみたいに"無機物"と言っていた。

そんなんじゃ嫌われるのは目に見えていた。





あたしは話を黙って聞いてくれていた銀ちゃんに甘えていただけ。




もっとあたしを知ってと言えば良かった。




何も聞いてこないことが"愛"だと思っていたけど、いざ銀ちゃんを失って初めて感じた。





あたしは素直なんかじゃなかった。







本当は"有機物"の銀ちゃんが好きだったんだ。





優しくてあったかくて何もかも包み込んでくれて少し不器用な銀ちゃん。





そんな人間くさい銀ちゃんが大好きだったんだ。




確かにきっかけは"無機物"のオーラを出す君に惚れていたかもしれない。





でも…
でも!!

君の心に触れた。




あたしの中で何か変わっていた。
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