彼女と工場地帯と俺。
□6月のデート日和
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…で、待ちに待った日曜日なのだが。
待ち合わせ場所に来た彼女を見て俺はどうしていいものか、最大級に悩んだ。
「1つ聞いていいか?」
「なぁに?」
「どこに行くつもりだ…?」
女の子というのはデートに行くときいつも以上にオシャレをして、飛び切りのコンディションで来るものじゃないのか…?
何故、要は作業服のようなつなぎを着ているのだろう。
手には手袋。
長い黒髪は乱雑に後ろでまとめている。
靴は軍隊のようなブーツ。
どこに行くためにそのような格好をしているのか、俺には全くわからない。
しかも、当たり前の如く着ている。
つまり、着慣れている。
「動きやすい方が良いんだよ?」
この世界のどこの彼女が彼氏との初デートに激しいアクティブさを求めるのだろうか。
「…え、…いやいやいやいや。ちょっと待て。要、一体君はどこに行くつもりでいるんだよ」
「良いところー♪」
俺は彼女の後ろを追っていくことしか出来なかった。
ってかそれしかやりようがないだろ!!