ShortU

□キスマーク
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奈央斗、尚雪、保の三人がちゃぶ台を囲んで話をしていた。
この三人は大会に向けてのテレビドラマ制作班である。
三人は、原稿のラストシーンの駅での撮影について話している。

「どこの駅で撮るのがいいんだろう?」
「ピコたんで画像検索してみますか?」
「ゆっきー頭良い!奈央さんピコたん点けて!!」

そうして駅の画像検索をしてみるが、なかなか決まらない様子である。

「やっぱり、自分たちの目で見るのがいいんじゃない?」
「そうですね。じゃあ、下見行きますか?」
「今度の土曜日はどう?早めの方が良いじゃん。『思い立ったが吉日』って言うし。」
「あ、俺その日行けないです………用事があって………」
「じゃあ、俺と先輩で行ってくるよ。カメラで撮影してくる。」
「本当?頼んだよゆっきー。」

こうして、保と尚雪は駅の下見に行くことになった。

―土曜日―
発声・滑舌が終わった後、保と尚雪が準備を始めた。

「ゆっきー、カメラは?」
「持ちました。バッテリーと、DVCも持ちました。」
「オッケー。そして、三脚は俺の嫁〜!!」
「じゃあ、三脚お願いします。」
「なるべく、11時までには帰ってきてね〜。それと、迷わないでね〜。」
「何を言うか優羽君。俺の父さん譲りの方向感覚をなめんなよwww」
「それなら安心だね。いってらっしゃい。」
「「いってきます。」」

保と尚雪は、まず近い方の駅から行った。
一通り撮影を終えて、次の駅に向かっていると、尚雪が面白いことを言い出した。

「そういえば、ココの近くにあんこの自販機あるんですよ。」
「あんこ!?マジ!?見たい見たい!」
「確か………あ、あった。コレです。」
「マジであんこだwwwしかも、400円とかまたビミョーな値段www」
「買おうかな………あ、小銭が足りない!今回は諦めますかね〜」
「ドンマイ。とだけ言っておくよ。さっ、行かないと時間がやばいぞ〜」

そういって、二人はまた歩き始めた。
もう一つの駅に到着し、撮影を終わらせ学校へ戻ろうとしてると何処かでサイレンが鳴った。
「ありゃ、火事だな。煙があがってら〜………あそこらへんって、東海林の家が無かったっけ?」
「………え?先生の家?………ッ!」
「ちょ、ゆっきー!」

尚雪が突然走り出したので、保は必死に尚雪の後を追った。
「ちょ、お前待てよ!!………どうしたんだよ!?急に走り出して!!」
「だって!!早く行かないと先生がッ!!!!」
「落ち着けって!!東海林なら、今日学校に来てただろ!!」
「あっ………」

突然、尚雪の体が崩れ落ちた。
保は必死にその体を支えた。
尚雪は目を閉じたまま保に体を預けていた。
保の声に応答する様子もなく、ただ規則的に息をしていた。

「お前………そんな無防備な姿見せんなよ………」

保はそう呟くと、尚雪の首筋へ噛み付いた。


「ただいまぁ〜」
「ちょ、ゆっきーどうしたの!?」
「帰る途中で倒れた。」
「ってか、保君ココまでおぶってきたの!?」
「………理性と戦うのが大変だったよ。」
「なんか言った?」
「いや、なんでもない。とりあえず、このまま保健室に運ぶわ。優羽君、荷物片付けといて。」
「分かった。気をつけてね?」

保は手を上げると、尚雪をおぶったまま保健室へと向かった。
保健室には、東海林がいた。

「失礼します〜」
「どうした?………ッ尚雪!?」
「急に運動して体がついていかなかったみたいなんですけど………」

東海林は尚雪を抱えると、すぐにベッドへ寝かせて状態を見た。
その時に、東海林の視線は尚雪の首筋へと吸い寄せられた。
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