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□身勝手な吸血鬼
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「閣下って魔界パロとかで例えるなら淫魔とか夢魔の類いだよなー、奈央斗くんは吸血鬼とか」

飛鳥先輩がそのような発言をしたのだが、俺は脳の片隅に追いやっていた。




「閣下たん、淫魔って何?」
「え?」
「ほら…飛鳥先輩が言ってたから」

俺はそれによりああ、と思い出し、


「いや、ほらー…夜寝てる時とかにさ、その人の好みの姿になって、性行為で精力を奪ってく悪魔みたいなの」


兄貴は俺の部屋の俺の椅子に座って、ぐるぐる回りながらへー、と反応する。


「何か、お前そのものだね…うっ酔った」
「ばーか」


俺は兄貴に近付いて頬を引っ張る。


「いひゃい」
「うん」


俺が適当に頷けば、兄貴は立ち上がって、俺の腰に腕を回し口付けた。



「んん…ふ…ぅ……」



いつもの流れで行くと、こういう深いキスはヤる前の合図、というか…


「んっ……はぁ、…ヤんの……?」

「うん」


今度は兄貴が適当な返事をした。





――――


「んっ、ぁ、兄貴っ…!」
「俺の名前は奈央斗だよ…!」
「なお、とっ…!そこ、っ」



俺が縋るように喘げば、奈央斗はそこばかりを的確に突いてくる。
 
 
「閣下たんはここがいいんだ…っ」
「自、分ばっか、ん、名前で呼ばなっ…で…ああっ、ずる…」
「っ…智哉」



吐息混じりのウィスパーボイスで名前を耳元で囁かれ、耳を犯されてる気分になる。



耳元で囁いていた奈央斗の顔が、俺の首筋に移動して、その刹那痛みが走った。



「ばっ…噛むな、ぁ…!」
「だってほら、俺は、吸血鬼だから」

「何を、今更っ…ん、ぁ…は…」


「だから智哉は、俺の精力でも何でも吸い取っちゃえばいいんだ」




――――――


「あ゛〜腰いってぇ……明日取材行くっつったろ…つーか…普通血ィ出るまで噛むか?」
「閣下たんの血、美味かったよ」
「ヘマトフィリア乙」



兄貴はにっと笑ってから、


「血フェチじゃなくて、閣下たんフェチ」

「アホか」




身勝手な吸血鬼
(「俺閣下たんに精力吸われちゃったから明日何もできないかも」)(「それまだ引きずるか?」)

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