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□Endless Desire
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Endless Desire



尚雪は前にある広い背中を見た。目を細めて見ていると、その顔がいきなり振り向いて驚いた。

「っ!?」
「何驚いてんの。次の台詞なんだっけ」

奈央斗が尚雪の手元の紙を覗いた。必然的に距離が近くなる。
「まだここか…」
確認して直ぐに離れてしまう。「…」

尚雪はおもむろに口を開いた。「…人間ってさ、ずっと一緒にいられるわけじゃないよな」
「…ここってそんなシーンじゃないよな?」
「うん」
尚雪はうなずいた。

「ただ今なんとなく思っただけ。……兄貴はいつまで俺と一緒にいてくれんの?」
「…」
「卒業まで?それとも一緒にドラマの脚本作り終わったらもうこんなに近くじゃなくなる?」
尚雪は淡々と続けた。自分でも何を言っているのか理解できていない気がする。

「部活やってる間はそれなりに一緒にいられるか。…それも卒業したらなくなるけど」

落ち着いた声で言われると、本の中の一文を朗読されてるような気分になる。流石朗読担当と言うべきか。

尚雪は奈央斗の肩に額を乗せた。
「ゆっきー?」
声をかけると制服の腕を
捕まれた。
「俺は一瞬の優しさが欲しいわけじゃないんだ」
いい声で耳元で囁かれ、奈央斗の肩が跳ねた。勝手に動いてしまいそうな手を押さえ込む。

「永遠に逃れられない呪いみたいな愛がいい。……兄貴、


ずっと俺を離さないでいてくれないか」





終わりからは逃れられないって、わかってはいるけど

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