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□crazy lotus
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『好きな人が出来たらどうします?』
以前、謙太は蓮に聞いたことがある。
確か、蓮はひどく歪んだ笑みでこう答えた。
『俺に縛り付けて、二度と離れられないように繋げてやる』
crazy lotus
「…どういうことですか、蓮先輩?」
自身を拘束する手錠の鎖をわざとらしく鳴らして、謙太は問う。
それほど長くない手錠の反対側には、蓮の手首。
「こんな本物の手錠で俺を拘束して、何が楽しいんですか?」
不審を隠そうともせず、謙太は問う。
迎え撃つ蓮の表情は、それはそれは歪んだ笑みだった。
「楽しいよ」
それは、歪んだ愛情で。
どこか、狂気にも似て。
「お前と繋がれるのが、凄く嬉しい」
その魔性は、蓮の華にも似て。
「だから、もっと繋がろう」
ちきちき、蓮の手の中から響く不吉な音。
カッターの、刃を出す音。
蓮はそれを、自身の掌へと突き刺し、勢いのまま謙太のそれを刺し貫いた。
「―――!?」
疑問と痛みに支配され、身動きの取れない謙太に、蓮は晴れやかで歪んだ笑みを向けた。
「ずっと、いっしょ」