Short
□嗚呼、こんなにも
1ページ/1ページ
「保センパーイ」
「んー?」
俺は今、漠然とした一つの疑問に突き当たった。
「何で俺は先輩にマウントポジション、世間一般的でいう馬乗りにされているのでしょうか」
「それは俺が欲求不満だからっ」
いや、語尾に☆がつく勢いで言われても……
「大体、アンタは欲求不満でも俺は欲求不満じゃないですー」
「へぇ、じゃあ最近誰かとヤったばっかなんだ」
「ああ、そうですね」
俺がそう言い放てば、先輩は冷めたような表情でふぅん、と納得し、淡々と述べる。
「まさか、相手は部員…じゃないよね」
「はっ、だったらどうすんの?」
へらっと笑って返す俺。
あ、敬語抜けちゃった。
「優羽くんに言うよ」
「だったら、今、ここで、俺が先輩をヤっちゃいますが?」
俺は先輩の肩をぐっと押し、俺が押し倒す。まさに形勢逆転ってワケ。
俺が言ったことが理解できないのか体勢とか何よりも、は?と言った感じの表情を浮かべる先輩。
「保先輩が優羽先輩に、節操ナシの俺のことを言いつけるなら、俺は今保先輩をこの場で犯して、保先輩に誘われたんだと優羽先輩にチクります」
「…優羽くんはそんなの信じない」
くく、と喉を鳴らし笑う俺。
「俺ってば準備良いからー、さっきの先輩の『それは俺が欲求不満だからっ』とかICで録音しちゃってるんですね」
途端、青ざめる先輩。
「頭の良い先輩ならこれの意味がわかりますよね?それとも…自分で『俺は男の智哉に脅されて、犯されましたー』って言えますか?はは、言えないですよね、人の男を寝取るのが趣味な俺より節操ナシのや・す・セ・ン・パ・イ 」
だから虐めたくなるんだ。
嗚呼、この人の歪んだ顔がこんなにも美しかったなんて。