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□林檎な君との下校道
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「蓮センパーイ」

智哉が声をかけても、ヘッドフォンで音楽を聞いている蓮には届かなかったようだ。

「〜♪〜♪」

しかもノリノリ。
先輩であり、一応恋人である相手がこんな調子では、下校時間の楽しさなんて無くなる。

故に智哉は、自身より数段身長の低い蓮の頭からヘッドフォンを持ち上げた。

「…智哉くん?」
「蓮センパイ、さっきから呼んでるのになんで反応してくれないんですか」
「…」

ややあって、ヘッドフォンから微かに流れ出る曲に乗せるように、蓮の言葉が流れた。

「…こっちだって…恥ずかしいんだよ…!」

顔を真っ赤にして返す恋人の姿に、智哉は思わず毒気を抜かれた。

「ほら、行きますよ」

からかうように笑いながら、智哉は右手を差し伸べた。
並び立つように。



林檎な君との下校道
(…その顔、誘ってるようにしか見えないんですが)(Σ!?)(冗談ですよ)(智哉ぁー!)

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