ShortV
□永遠
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「………もう、朝なのか」
涙がこぼれるほど優しい朝焼けの空を、なんとはなしに眺める。
一睡もしなかったせいか、まぶたが妙に重い。
昨日の部活で、奈央斗に“本命”が出来た宣言をされた。
その時に言われた言葉を思い出す度、智哉の胸は締め付けられるように痛む。
『これからも、“友達として”よろしくな』
智哉と奈央斗は、いわゆる体だけの関係という奴だった。
時折体を重ねる部活の友人。
ただそれだけで繋がっていた二人。
けれど、智哉は奈央斗を想っていた。
体を重ねていくうちに次第に惹かれていた。
……もう、戻らない。
永遠だと信じていた、あの幸福だった日々は。
「…………苦しいよ」
伝えきれなかった想いが、思い出されてしまう温もりが、今は切ない。
もう、今までと同じように笑いあえるはずもないのに。
それでも一緒にいたいなんて。
そんな願いは、間違ってる?
ふと窓の外を見上げると、完全に朝と呼べる空があった。
真っ青なキャンパスの隅の入道雲を見上げながら、智哉は小さく歌った。
「――二人過ごした遠い日々を永遠に忘れない――」
永遠
(そんなもの、どこにもなくても)