ShortV

□15日間の同い年
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時計を睨みつけた。秒針と分針は12の上で重なっていて、新しい一日が始まったことを示していた。
今日という日が来てほしくないと、蓮はどれだけ思っただろう。

携帯を開いてみるとすでに2件ほどメールが来ていた。
どれも「誕生日おめでとう」の文字が見える。

誕生日が嬉しくないわけじゃない。
1つ年を取って、人に祝ってもらうことが嫌いなわけではない。

ただ、誕生日が来るのが嫌なのは、
年を取るのが怖いのは、

「…ゴールド」

頭によぎるあいつのせい。

蓮が好きなたった一人の人間は、年下の女の子がタイプだともっぱらの噂で。
自分と正反対の人間像を聞くたびに、悲しいような、苦しいような、自分でもわからない感情がこみ上げる。


謙太は15日だけ誕生日が蓮より早い。
15日間、今日まで同い年だった。
学年は超えられなくても、年下にはなれなくても、同じ年だというだけで蓮は嬉しかった。
それも今日までだ。

また今日から蓮は謙太より1つ年上になってしまう。
そのことが嫌で、嫌で。
いっそ誕生日を迎える前に自分の時間を止めてしまおうと何度思ったことか。
カッターを手にとって高いところから身を乗り出して。
結局、実行する勇気なんてないのだけれど。


こんなに嬉しくない誕生日は初めてだった。

1年遅く生まれていたら、同じ学年カラーを身につけて、同じ階で勉強できたんだと思うと自分が憎らしく感じられて仕方がない。
一緒に修学旅行も行けて、卒業もできて…。
それができない自分が悔しい。

また1つ年をとって距離が遠くなることを実感して、蓮はまた自分が嫌いになった。

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