別書
□君に会いたい
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『じゃあ、行ってくるから。留守番よろしくね。おばあちゃんの事で何かあったら電話して。』
そう言って母親は昼前に家を出た。
昨年引っ越した家の自分の部屋は、前の部屋の半分ほどしかない。
そして南向きではあるが外を望むには小さな窓しかなく、
風水の方角で選んだ自分の部屋を
もうすぐ一年になるというのになかなか好きにはなれずにいた。
窓からは冬のぼんやりとした曇り空が見える。
雨でもなく、晴れでもなく。雪でもなく。
俺はチーフに任せられたシフトとにらめっこをしていた。
雪。
雪と言えば、
俺は告白するんじゃなかった、
そう、この冬、何度思った事だろう。