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□センセ、愛してる!2
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「…いろいろと本当にご心配おかけしてすみません。」

西畑はにっこりとお得意の生徒会長スマイルを見せ、頭を下げる。

「いやー…そんな…さ。」

相澤は照れくさそうに頬をかく。

「…でも、しばらくは学校には来ないみたいですね。」

そう告げると、照れくさそうに笑っていた顔からは笑顔は消え、
視線が寂しそうに床に落ちる。

「もう少し考えたい…とか言ってました。…何かはわかりませんが…。」

「そうか…。」


相澤の様子は明らかにおかしい。

もしかしたら…

この二人の間に、何かあったのではないだろうか。

そして、相澤は…片桐の事が好きなのではないだろうか…



その時、西畑の脳裏に、昔片桐が言っていた言葉がよみがえった。



それは確か中学生の頃、二人でセックスをして疲れ果ててベッドに転がっていた時。
西畑はいつも受け身の片桐に聞いた。

『お前は…入れたいとか思わないのか?』

自分がネコ役をするなどと言うことは、今の西畑からしてもまっぴらごめんだが、
当時そう聞いてしまったのは、

いつも自分のものを咥えこんで、気持ちよさそうに片桐が乱れるのが
心底不思議だったからだ。

前は触りこそするが、西畑に受けろと求めてきた事はなかった。

何でもしっているはずの親友が、不思議そうなのを見て、
片桐はニヤリと不適な笑みをうかべた。

『聡。ネコしてぇの?』

『馬鹿言え。お前が後ろ攻められて喘ぎまくるから、前はどんな神経してんだって思っただけだ。』
 
『ははは。前もちゃんと機能してるだろ。

 …俺はこっちが好きだからいいんだよ。ズコズコされんのも気持ちいいし。
 
 それに、俺バージンは守ってんの。
 
 馬っ鹿みてぇって思うだろうけど、

 本当に俺と愛し合えるヤツだけの特権にしたいんだ。』

『それ、相手が初めてじゃなかったら空しくないか?』

『まー、それは残念だけど。俺は初めてだし。』

『ふーん…でも、初めてだったら不安にならないか?』

『そりゃ、不安だけどさ。

 きっとその初めては世界で最高に幸せだと思うんだ。』
 
 
異国情緒を匂わせるその仕草と、日本人にはない明るい髪色のくせっ毛が
ふんわりと枕に顔を埋めて
幸福そうに長いまつげを閉じた姿は、まるで天使のようだった。




(ヤってた事はただの思春期のバカがする事だったが…)


それからもう何年も経ったが、
今まで片桐は恋をしていたり、恋に悩んでいる素振りを見せたことはなかった。

だから…相澤を好きだと言った時、あんなに興奮していたのかもしれない。

これが片桐にとっての初恋であるなら…
くさい話ではあるが応援してやるのが、親友と言うものだろう。


西畑はコピーの仕分けが終わった相澤に提案した。

「相澤先生。…もしよかったら、店に行ってみたらいかがですか?」
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