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□センセ、愛してる!2
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「はい。ついさっき。
 ご心配をおかけしました。」

「そっかー…。よかったなぁ。」

うつむきかげんの姿勢から、何度か『よかった』と繰り返される言葉が、
少し震えるような響きをもっているのを、西畑はどこか不思議に思った。

「ありがとうございます…そんなに親身になっていただいて…?」

そう言った西畑の言葉を聞いて、相澤はパッと顔を上げる。

「いやっ…、親身って言うかさ! 藤山先生も心配してたしっ…!
 やっと安心されるなぁと思って。
 ホント、無事でよかったよなー!

 …西畑が電話してくれてすげー助かった…。」

相澤は慌てたようにそわそわと動きながら西畑に答えた。

目を合わせないその横顔が、なんだか赤く染まっている気がして、
見間違いか?と、西畑は何度か瞬きをした。



「…元気そうだったか?」

「はい。」

「そっかー…ちゃんと食ってるって?」

「はい。」

片桐に学校に出てくるように電話してほしいと
西畑に頼んできたのは、片桐の担任である藤山先生だったが、

それよりも…少なくとも2・3日前から、
相澤は片桐の様子を心配していたように思う。

学校でも会うたびに片桐の事を聞くようになっていったし、
コピーなどの生徒会の用事の他にも、
こうやって、生徒会室に顔を出す事が多くなった。

片桐と携帯がつながらなかった間の
相澤が心配している姿は、どこか切なげで、
西畑自身も昼夜問わず電話をしていたのは、
そんな相澤が見ていられなかったせいもあった。

そして、もし、電話がつながったら、
ちゃんと飯を食っているかを聞いてくれ、と西畑に頼んだのも相澤だった。

「食ってるって言ってましたよ。」

そう答えると、相澤は安心した微笑みを見せた。

「でも……その…さっき、片桐って一人暮らしみたいなもんだって言ってただろ?」

「片桐は近くに店を経営している叔父さんがいるんです。
 その店には顔を出しているみたいで、飯はそこで食ってるって言ってました…。」


西畑は返答しながら考えてしまう。

…先日、片桐からこのイモっぽい教師を好きだを言われた時は正直驚いた。

片桐はこの男のために西畑とのセックスを止めると言い出し、
暑苦しいほど真面目になると決断していたから。

…しかし、今はそれ以上の驚きを持って相澤を見てしまう。

まるで相澤の方が、片桐に熱があるように思えてしまうからだ。
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