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□センセ、愛してる!2
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生徒会室の廊下からは、
雨のせいで外に出られずに廊下でじゃれ合っている男子や、
体育館にで移動を始めた女子のお喋りが流れている。


西畑は電話が終わると、
PCの前に置いていた自分の携帯をパチンと閉じ、
イスの上で大きな伸びをした。

「やれやれ…、」

とりあえず問題児の親友は、生活には困らずに生きているようだ。
まったく、片桐は他人に心配かけるのが得意な男である。




ふと視線に気付き、振り返ると、
ちょうど後ろで少し身体の小さい少年が、西畑を見ていた。

「深山くん…。」

深山くんと呼ばれた少年は、生徒会の書記である。
音楽の帰りに、生徒会室に立ち寄ったのか、縦笛と教科書を持って立っていた。

「先輩…!片桐さんにつながったんですか?」

深山は子犬のような目をぱちぱちと瞬かせた。

「あぁ、つながったおかげで休み時間はPCを起動しただけで終わりそうだよ。」

西畑は少し呆れ返ったように言ったのだが、
『先輩は登校拒否をしている親友に電話をしていて、力になろうとしている』
と言う事情で知っている深山は、
その言葉を聞いて尊敬の眼差しと、ふふっと可愛い笑みを浮かべて言った。

「やっぱり先輩は優しいですね。
 先輩にそんなに大切に想われるなんて、羨ましいです。

 僕は、…まだ片桐さんにお会いした事はありませんが、
 きっと素晴らしいご友人なんでしょうね。」

深山が悪気なく言ったその発言に、西畑は眉をひそめる。

「いや、…アイツに会っても、特に得することは…。」

そう言いかけて、いや、一つだけあると西畑は言葉を止めた。

セックスに関しての片桐の反応の良さは比類ないほど良い。
身体のどこもかしこも敏感で、天性のS気質である西畑には、虐め甲斐がある逸材だった。


だが、そんな事を深山に言えるわけもなく、
西畑は黙って眼鏡をかけ直すと、携帯をポケットにしまった。

「先輩、休み時間ごとにかけていましたもんね。」

「休み時間どころか…。家に帰ってもかけていたんだよ。深山くん。
 こんなにしつこく他人に電話したのは、初めてだな。」

笑いかけながらそう言ったつもりだったが、
深山はいきなり西畑の前で固まってしまった。

「…?」

しかも、みるみる頬が赤く染まる。

からかったりすると、こんな風に頬が赤くなる深山。
このような可愛らしい反応が、深山に恋をしている西畑にはたまらない。

しかし、今の発言の何が彼をそうさせたのかはわからなかった。

「…ど…どうしたの?」

「…いえ…その…
 先輩って…その…さっきも…いろいろとしつこい…んだなぁって…。」

深山の目が泳ぐ。


西畑は、さっきの電話を思い出した。
楽しそうな片桐の声。

そして、PCに向かって電話をしていた事もあり、
携帯電話のスピーカー機能をオンにしていた事も思い出す。

てっきり一人だと思っていたが、背後で深山ひ聞いていたのかー…。


『さとしは、エッチもしつこいもんなー。』



「…わっ…ちょっと待って!深山くん!俺はー…!!」


エッチがしつこいわけじゃなくって、

ちょっと変わったプレイが好きなんだ…!!



そう叫びそうになった時、コンコンと生徒会室のドアがノックされた。

「はいるぞー…って…どうしたんだお前ら…!?」
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