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□センセ、愛してる!2
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それを聞いて西畑は満足そうに『そうか』と言った。

『携帯ぐらい電源いれとけよ。何回電話したと思ってるんだ。』

「いや、携帯繋がったら藤子ちゃんがうるせーじゃん。」

『ま、確かにな。
 藤山先生も毎日かけてるだろう。
 休み時間のたびにかけていた俺ほど、しつこくはなさそうだが。』

西畑が少し得意げに話すので、ますます可笑しくなり、

片桐も「聡はえっちもしつこいもんなー。」と答えた。

すると、突然に西畑は黙り、
コホンと咳を一つして、また真面目な生徒会長の声に戻る。



『今は家にいるのか?』

「…おー。だいたいな。」

『…俺が必要なら呼べ。行ってやるから。』

これは半分が親友として、
もう半分がセフレとしての意見だろうと片桐は考えた。

しかし、今はセックスも楽しめるようなテンションではない。

「…さんきゅ。」

『泰隆。…本当に大丈夫なのか?』


片桐は携帯を持ったまま、乱れたシーツを眺めた。

西畑は、イケメンの秀才であると同時に、
自他共に認めるドSで、エッチもマニアックなヤツだが、
昔から片桐を解ってくれていた唯一の親友である。

親友でセフレ。

お互いにそれ以上の関係になりたいと思った事は無いが、
珍しくこんなに優しくされると
西畑の恋人になるヤツは幸せだろうな(エッチも上手いし)と考えてしまう。


「あぁ…。もう少し…、

 自分で考えてみたい事があるから。」


見守っててくれよ。


最後を言葉には出さなかったが、西畑にはわかったのだろう。
『そうか。』とだけ返事が聴こえた。

そしてわずかな時間だったが
授業が始まるので電話は終わった。



片桐は携帯をベッドの端に置くと、
再びくしゃくしゃになったシーツに寝転がる。

大きな羽毛布団を腰の辺りまでひっぱり上げ、目を閉じた。

雨の音を聞きながら眠ったせいか、
西畑が学校からあんな電話をしてきたせいか、

毎日相澤の事を考えているせいか…


土砂降りの雨の中で、
相澤が傘をさして自分を待ってくれている。


そんな夢を見た。
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