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□可愛い君にキスしたい 〜生徒会長ver
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そう言って急に振り返るので、

俺は咄嗟に、身構えた。


体勢を崩しても受け止められるように。




その姿を見た深山くんは

「ふふっ…大丈夫ですよー。」


と頬を緩ませ、

俺が心配しないように

ゆっくりと机に腰かけた。





「先輩は…、優しいですね。」



その言葉に俺は目を丸くする。

また、そうやって可愛い事を言う。




「……ありがとう。」




ふわふわの子犬を可愛いがるように

俺は深山くんの頭を撫でた。


そうすると嬉しそうに顔を上げ、

俺の手に甘えるように少し顔を上げる。


すると先っぽがツンと上を向いた

赤ちゃんのような唇が俺の手に触れた。



「………。」


俺の頭の中で煩悩の鐘が鳴り響く。



そして吸い寄せられるように

その唇に軽く触れた。






「…………。」



柔らかすぎる唇。

某チョコレートのCMではないけれど、

ずっとキスしていたら溶けてしまいそうだ。



すぐに唇を離して、深山くんを見る。

突然の事に驚いたのか、きょとんとしている。



とうとう


俺はやってしまった。



神様は知ってるのだろうか。

俺はどれだけ、

毎日触れたいのを我慢していたと思うんだ。




「フッ…」

自分に呆れて笑ってしまう。



だが、してしまった事は仕方がないな。



我ながら、自分の頭に切り替えの速さに

感動してしまうが、本当にそうだ。


どのみちいつまでも

胸の中にしまっておける気持ちでは

なかったのだから。


「ごめんね。

 深山くん。

 俺は君が好きなんだ。」


俺は深山くんの目を真っ直ぐに見つめた。



いつか言おうと思っていた事。

それが、早まっただけ。



「え…。」


深山くんも真っ直ぐに俺を見つめる。

薄暗い中で、二人きりの世界。



深山くんとこんなに見つめあったのは

初めてだった。



徐々に、その視線があっちこち

忙しくなる。

そして、しどろもどろになりながら、

深山くんは少しずつ話し出した。




「…僕だって…先輩が好きですよ?」




何!?

俺の心に衝撃が走る。
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