書庫

□可愛い君にキスしたい 〜生徒会長ver
3ページ/8ページ

どうして君はそんなにキラキラしてるんだ。

俺の見てきたどの男とも違う。


深山くんは、

俺の事をどう思っているのだろう。


あれだけ懐いているのだから、

嫌われている可能性は無い。


だが、俺が恋愛感情を持っていると知ったら…

もし俺が毎晩君を

いろんな妄想に登場させていると知ったら…



あの笑顔は

俺の目の前から消えてしまうだろうか…。





最近はなんだか、こうやって考える事が多くなった。

こんな事は初めてだ。


俺は机に俯せる。







だが…




それにしても遅い。




俺は席を立ち、生徒会室に繋がる資料室に向かった。

こうやって俺が心配性になってしまうのも、

あの子犬を愛してやまないから。







薄暗い資料室ではガタゴトと

何かが揺れる音がする。


その音に向かって歩みを進めると

深山君は机の上で危なっかしい背伸びをして、

資料をしまっていた。



小さな腰がふらふらと動いて

俺は目をそらす。


今の俺には目に毒だ…。



「深山くん?大丈夫?」



目のやり場に困りながら声をかけたその時、

「あっ……。」

っと言う呟きと、

床に何かが重たく落ちる音がした。



その音で

俺の背筋は凍りつく。




慌てて視線を戻すと、

ファイルだけが

床に叩きつけられていた。


深山くんは机の上…。




「大丈夫か!?」




一瞬、深山くんが床に落ちたのかと思った。


どこも怪我をしたりしていないかとか、

目で深山くんを確認しながら

ファイルを拾う。



「ごめん。俺が話しかけたから…」


「わっ…先輩。違いますっ。

僕がしっかり持ってなくて…」


俺は安堵し、拾ったファイルを渡した。


「ありがとうございます。」


と、小さな手が受け取る。




俺は心の中でため息をついた。

一瞬でも目を離した自分に後悔する。

深山くんに何かあれば 


…俺は…



その間に深山くんは

最後のファイルを棚にしまった。


「お疲れさま。」


「すみませんっ。ありがとうございましたっ。」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ