書庫

□可愛い君にキスしたい 〜生徒会長ver
2ページ/8ページ

夏に仕事が長引いて遅くなり

自転車で家の近くまで送った時の

背中の密着感。


また、定期テストでは

『先輩の使ったシャーペンなら、テストで満点取れそうです』

なんて言うもんだからシャーペンを貸した。

だが、俺は使用後のシャーペンで

興奮を覚え、使えなくなると言う

窮地に立たされた事もあった。


今みたいに

俺の手伝いをしたいと

二人きりで部屋に籠もる事になることも

最近は多くなってきた。



その度に俺は下半身のエレクトに

注意して、煩悩を捨てなければならない。



確かに、俺はゲイ。

だが、いきなり身体に走るような事はしない。

俺は深山くんを大切にしたい。

両想いになってから、

心も身体も繋がりたいと思っている。





「先輩!終わりました。」


深山くんが明るい声で言う。

俺は少し前にデータの打ち込みを終わったので、

次にしなければならない仕事の書類に目を通していた。


「ご苦労様。深山くん。」


俺は立ち上がると


「じゃあ、上書きして…、パソコンの電源切ろうか。」


と、斜め後ろから

深山君の温かさが残るマウスを操作する。


わざとではないが、

腹の辺りに深山君の頭が触れる。


少し身体をかがめて画面を覗き込むと

ふわふわした髪と暖かい身体が

近くなる。



このまま、この髪に

唇を埋めてキスしたい…。



だが、また明るい声が俺に話しかけた。


「あ、じゃあ僕、資料をなおしてきますね!」


あっと言う間に深山君は青いファイルをいくつか抱えこむ。


一つでも重いファイルを

その細い腕に5つも持つ。


「…深山くん、重いだろ?俺も…」


と手を伸ばして手伝おうとするが

子犬は元気よく立ち上がると



「大丈夫です!!

 すぐ片付けますから

 ……先輩は帰る用意しててくださいね!!」




と生徒会室と繋がる隣の資料室に

いそいそと乗り込んでしまった。



俺は溜め息をつき、

頬杖をついてパソコン画面を眺めた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ