Novel〜木星〜
□美奈子の愛の手料理!夜天のためにおいしいご飯を
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〇ある年の夏、バカップル下校中…〇
美『今日から夏休みね!夜天君♪』
夜『そうだね…』
美『なんか元気ないわね〜』
夜『う〜ん…夏、嫌いなんだよね…』
美『私は夏好きよ!海にもいけるし、スイカもおいしいし!』
夜『うん、僕も海は好き。』
ドンっ
夜『いった…』
星『よ!夜天!』
夜『思いっきりつきとばさないでよ』
星『ごめん、ごめん!一緒に帰ろうぜ!』
夜『別にいいけど、月野は?』
星『木野達と帰っちゃったんだよ…だから一緒に帰って?』
夜『ぶりっこすんな。』
美『いいわよ♪イケメンふたりと帰れるなんて最高!』
夜『………』
しばし沈黙…
夜『なんか、しょうが焼き食べたい』
星『あぁ〜いいよな♪俺も好きだぜ。愛野は好…うわっ』
美『げへへ…しょうがやき…つくれるかしら…でへへもし作れたら…がひひ…やややてんくん…食べて…』
星『(愛野のヤバいスイッチ押しちゃったみたいだぜ…)』
星『おい夜天…スーパーで買える物が良いと言い直せ…やばい事になるぞ』
夜『ん?』
美『わかりました!この愛野美奈子、夜天君のためにしょうが焼きを作って見せます!』
星『(のわあ!遂にきたか…生きろよ夜天…)』
夜『゜□ ゜』
〇スリーライツのマンションに二人で帰宅後〇
夜『美奈…ほんとにつくるつもり?美奈は練習した事ない料理はてんで駄目じゃない』
美『今度こそ大丈夫よ!』
夜『(泣きたい)』
美『さあて!作るわよ!と、豚肉がない…』
夜『よし!!!!やめよう!!!』
美『鳥肉をつかおう!!』
美『夜天君どうしたの??』
夜『いやなんかもう絶望で泣きたくなってきただけ…』
なるほど夜天は苦痛で顔面が歪んでいる。
美『とにかく!鳥肉のしょうが焼き作ろう!』
夜『そんな料理名聞いた事ないよ…僕もうやだよ…』
美『大丈夫!
作ってみればおいしいかもしれないじゃない!
やってみよう!』
美奈子は、やる気満々でエプロンをつけた。
夜『はぁ…恐ろしい…』
美『ん?なんか言った?』
夜『別に…』
美奈子は、うんざりした表情の夜天のことは特に気に留めず、準備を始めた。
美『まずは、お醤油としょうがを混ぜるのね』
トントン…かちゃかちゃ
夜『待って美奈!
しょうが、そのまま入れた?』
美『え?うん、ちゃんと食べやすい大きさに切ったわよ?』
夜『…あのね美奈、普通はすったしょうがを入れるんだよ…』
美『あらそうなの?
そんな細かいことはいいのよ!
これが美奈子流なんだから♪
そんなに細かいことばっかり気にするとハゲちゃうかもよ』
夜『…』
呆れて黙ってしまった夜天。
あいかわらず美奈子は特に気にする様子もなく、準備を続ける。
美『あ、お酒も入れなきゃね』
美『お酒お酒…どこだろ』
夜『…なんか見てると本当にハゲるかも…
美奈、僕、部屋に行ってていい?』
美『いいわよ♪
おいしーいやつ作るからテレビでも見て待ってて』
夜『うん…
じゃあ、くれぐれも火事おこさないでね』
美『任せて!』
そして夜天は本当に美奈子をキッチンに一人にして自分の部屋に移動した。
美『お酒お酒…
ないからビールでいいかな』
美『なんかしゅわしゅわしちゃったけど、まぁいいか』
美『お肉も食べやすい大きさに切らなきゃね』
そして、醤油と、1口サイズのしょうがと、ビールを合わせた液体に、肉をぶち込む。
美『ちょっともんでー、さぁ焼くぞ!』
じゅうじゅう
美『よいしょっと…』
〇その頃、夜天の部屋〇
夜『美奈ほんと大丈夫なのかな…』
夜天はその辺に置いてあった新聞を気をまぎらわらわそうと手に取った。
パラパラ…
夜『……なになに』
―火事で夫婦死亡!!原因はガスの中に油!!―
夜『あああああ!!!!美奈に注意しに行こう!』
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美『何これ???これお肉かなあ??』
美奈子は黒くギトギトした固まりを箸で持ち上げながらいう。
バンッ
美『あら夜天くん!どしたの?』
夜『美奈。くれぐれも火の元に気をつけてやってね…』
美『だあいじょうぶ!』
夜天はハゲるかもしれないが二人で死ぬよりマシだと思い、美奈子の料理を見ることにした。
夜『…………まって美奈。その黒い固まりは…何?』
美『うーん…多分おにく。』
夜『嘘…?』
美『なんか普通に焼いてたのにちょっと焦げちゃって!』
夜天が、明らかにしょうが焼きを作るのに適していない、底が深いフライパンをのぞくと…
夜『う゛っ』
フライパンには油がはってあり、その中で肉(かどうかもうわからないもの)が泳いでいる。
夜『これは…夢…かなっ♪』
美『夜天くんが変になった〜!!』
夜天は半笑いを浮かべながら、内心どうしようかと脳みそを回転させていた…