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電車の車内ほどこの世の中の縮図はないだろう。
斜め前には音楽プレイヤーを聞き、自らの世界に籠もる若者。
隣にはいい年してゲームに夢中になっているおっさん。
耳に入るのは女子高生のおしゃべり。
………悪口とはそんなに楽しいものだろうか…。
すると目の前には中年のおばさんがやってきた。
あ…。
頭によぎったのは学校の教師の言葉。
「席どうぞ。」
しかし僕の頭によぎったそのセリフはゲームをしていたおっさんにとられた。
自分の人間性を周りに見せつけるチャンスとばかりにゲームをやめ即座に立ち上がるおっさん。