企画もの

□それはまるで中毒のような
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「名無しさん、今日は帰りが遅くなるから先に晩メシ食ってていいぞ」


「うん、わかった。お仕事頑張ってね!」





私と阿伏兎は最近結婚したばかりの、所謂"新婚"さん

阿伏兎は朝から仕事へ行き、私は家で家事をこなす






「今日は一人かぁ」


「寂しいか」


「そりゃあ、まぁ、それなりに…」


「いい子でお留守番できるか?」


「そうやってすぐ馬鹿にする!」


「冗談だよ、冗談」


「きゃっ」





可笑しそうに笑う阿伏兎が憎らしくて睨んでいると、不意に腕を引かれる

何かと思えば






「ん…っ」


「…行ってきます」


「い、行ってらっしゃい」





"行ってらっしゃい"のキス
これで私は今日も一日、頑張れるのだ
















阿伏兎が家を出た後、洗濯物を干して掃除を始めた


「よし、こんなもんかな!」





簡単に掃除機をかけて、窓やら家具やらを雑巾で拭いて…
床は…今日はいいかな(ちょっとめんどくさい)





「お昼ご飯は阿伏兎のお弁当を作ったときの残りで…。あ、トイレットペーパーが無くなりそうだったんだ」





昼食を済ませ、買い出しメニューをメモして、身だしなみを整えたら、いざ買い物へ





「鶏肉、レタス、生ハム、トイレットペーパー…全部スーパーで揃っちゃうかな」



今日は一人唐揚げだ〜♪

そんなウキウキした気持ちで買い物を済ませ、近所の奥さまと少し話して帰宅






「…ねむーっ」





家に着いたのは5時頃
意外と長い間歩き回ってたんだなぁ
どうりで眠くなるわけだ
少しくらいならお昼寝しちゃってもいいよね

そう思ってソファに横たわってすぐに、私は夢の世界に沈んでいった

















ん、なんだろう
誰かに頭を撫でられているような気がする
気持ちいいな〜


……え、誰かに?





「はっ!!」


「うわ、起きた」


「阿伏兎…、今何時!?」


「10時」


「ええっ!?」





5時間も眠ってしまっていた事実に驚いて、とりあえず洗濯物を取り込もうと立ち上がると



「んっ!?」


「…"おかえりなさい"のチュー」




引き寄せられてキスされて
悪戯な笑みを浮かべる阿伏兎



「阿伏兎ってさ、"行ってきます"と"おかえりなさい"のキスは絶対欠かさないよね。家事はたまにサボるくせに」


「そりゃそうだ。俺ァ名無しさんに依存してるからな」


「調子いいんだから」


「マジで言ってるんだぜ。だから家にいる間はしっかり充電してェんだ。心も体も、な」











それはまるで中毒のような











「本当は仕事なんか行かずに名無しさんといたいんだがな」


「それは困るよ。阿伏兎の収入が頼りなんだからね」


「よし、ベッド行くか?」


「その前に洗濯物取り込んでたたんでお風呂沸かして明日のお弁当の準備するから。手伝ってね、あ・な・た」


「……はい」










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title→Chien11









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