企画もの
□溶け出した熱に酔う
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「かぽーん」
「効果音を自分で言っちまうか」
「だって温泉だよ混浴だよ!」
「わかってらァ」
只今、私は阿伏兎と温泉でまったりしています
混浴に来てみれば誰もいない貸切状態
もちろん私のテンションは上がりに上がり…
「お前さん、タオルはどうした」
「え?持ってるけど」
「巻かなくていいのか」
「だって阿伏兎しかいないし」
「あ、そう…」
阿伏兎とお風呂
最初は少し恥ずかしかったけど、気分が高揚してきた私はタオルが邪魔くさくなり外してしまった
一緒に入るのは別に初めてじゃないし
「名無しさん」
「なに?わぁっ、すごい!」
阿伏兎が持っていたのはお酒
「少しくらいならいいだろ」
「うんうん!飲もう!」
もともと酒に強くない私はちびちび徳利一杯を飲んでいたが、
流石、阿伏兎はグイグイいく
「そんなに飲んで大丈夫?」
「お前さんと一緒にするんじゃねェよ」
「失礼な!」
ちょっと腹が立ったから対抗してやろうかと思ったけど、せっかく温泉に来たのに酔い潰れて終了。なんて事態は避けたかったため、そこは受け流した
「はぁ〜、ぽかぽかしてて眠たくなってきちゃうくらいだね」
「寝るなよ。後が面倒なんだからよ」
「寝ないよ。この後は牛乳飲んで卓球なんだからね!」
「定番だな」
くくっと笑って小馬鹿にしてくる阿伏兎だけど、今日はいやに色気があるような
温泉だからかな
多少(?)のお酒も入ってるし、上半身裸だし
「なんだよ」
「ううんっ。なんでもない」
私は早々にお酒タイムを終わらせ、湯船をすいすい泳いでみた
う〜ん、いい気分
「阿伏兎〜気持ちいいよこれ〜」
「んー、そうか」
「あんまり飲みすぎないでよ」
「だーいじょうぶ」
「…酔ってる」
「酔ってねェよ。まだ」
「酔ってるじゃん!」
ふざけてチョップをかまそうかと思って振り上げた右腕を、不意に阿伏兎に掴まれた
「………」
「な、なに?」
「名無しさん…」
嫌な予感
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