企画もの

□キスで窒息
1ページ/2ページ







「阿伏兎」


「ん?」


「キス教えて」


「ブッ」





私が唐突にこんなことを言ったものだから、驚いて飲みかけていたお茶を吹き出しそうになっている阿伏兎




「いきなり何を言い出すかと思えば…」


「神威が驚いてたよ。"ディープキス"したことないのか、って」


「あのバカの入れ知恵か」


「"ディープキス"って何?普通のキスと何が違うの?」



そう
私と阿伏兎はまだ触れるくらいのキスしかしたことがない、清い関係

そんな話を神威にさせられて




「聞いても教えてくれなかったんだ〜。本人に教えてもらえって」


「ハァ…」




盛大に溜め息を吐く阿伏兎を見る限り、あまりいいものではないのだろうか
そこまでしてやってほしいわけではないけれど、やはり気になる




「そりゃァな、俺以外から教わられても困るけどな…」


「一応キスなんでしょ?」


「……名前のまんまだ」


「名前の…"深いキス"?」




ん、と小さく頷く阿伏兎

しかし…深いと言われてもピンと来ない
キス自体、唇どうしが触れあっているのに
それ以上に深いというのか




「んん〜?」


「お前さんな、簡単に教えろとか言ってるが…それなりに覚悟が必要だぞ」


「覚悟?」



そんなに大変なものなのか

ますます興味がわいた私は、阿伏兎に再度お願いしてみる




「ね、やっぱりそのキス教えてよ!阿伏兎相手ならいいよ」


「え?」


「だって私たち恋人同士じゃん。キスなら、私だってしたい、し…ね」



大好きな阿伏兎が相手なら、ディープキスとやらも楽しみに感じる
触れるだけのかわいらしいキスはすごく好きだけど、ちょっと物足りないと思っている自分もいる



「よし、わかった」




何かを決したような表情で阿伏兎が立ち上がって、部屋の扉にもたれかかっていた私に近付く




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ