GHS短編

□3万hit記念絵とおまけ「注文の多い診療所」
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某月某日…。
グレゴリーホテルの一室では、イベント用の企画があると聞かされて招かれたタクシーとミラーマンの二人が待機していた。

「遅いな…確かあのペテン師野郎も一緒なんだろ?もう五分も過ぎてるってのに、何やってるんだ?」
「さぁな。まぁ、しばらく待ってようぜ…一応、お茶も用意されてることだし」
「明らかに適当に用意しました感のあるペットボトルの『おーい粗茶!』がな!せめて『綾鳶』くらい出せよ!!」

「ん?メニューが置いてあるぞ…欲しいもんは自分で注文しろってことか?」
「そりゃ良い、紅茶あるか?」
「………いや、なんかデリバリーじゃなさそうだぞ。ほら」

【一日ナース体験コース:10万】

「なぁミラー…なんだと思う?この怪しいメニュー…」
「そりゃあ………おい大丈夫なのか!?まさか風営法にひっかかるようなネタじゃないだろうな?どっかのピンクチラシが紛れ込んだのか?」
「…いや、違うぞ…」

【※男性用サイズ、SとXLございます】

「…なんか…スゲー狙い撃ちにされてる気がする」
「オレ達のサイズ知ってるとか…確実に人形の嬢ちゃんか…いや、コレもう間違いなくアイツの仕業だろ!!一体どうなってやがる!?」

【ご不明な点がおありの方・御用の方はスタッフをお呼びください】
「…呼ぶか?」
「…呼ぶしかないだろうけど…どうやって呼べって言うんだ?内線も呼び鈴もないぞ」

【スタッフを呼ぶときは叫び声でお呼びください】
「「………スタッフー」」

【大きな声でお呼びください】
「「…スタッフーーーゥッ!!」」

【…ぐッ…ぶっは!ぎゃははははは!本当に言いやがったよコイツら!」
「あのなフォン!お前が言えって言ったんだ…ろ…」
「…おい、なんだそのイカれた格好は!!」

【本日から配属されました、新人ナースのパブ江ちゃんです☆】
「いや、新人ナースがガーターベルトと網タイツはおかしいぞ!」
「ツッコミどころが違うぞタクシー!もっと全体像を見ろ!!」
「断る!」

【ちなみにガーターベルトの先は…ちゃんと縞柄トランクスにつながってます☆】
「「おいやめろ!裾を持ち上げるな!これ以上、俺たちのナースに対する夢を壊すんじゃねー!」」

【ナース服のご注文ですか?】
「自分で着ても全ッ然楽しくないからな…そもそも高いし、男モノとか無駄すぎていらねーわ。ミラーはどうする?話題作りに買ってみるか?Sなら誰か着られそうだし」
「誰が買うか!女に贈るにしてもあまりにも無いわ!それに女装野郎なんて一人いれば十分だからな!近頃の三流詐欺師は露出癖の次は女装趣味にでも転向する気か?」

【…要らないんだな?】
「「要らない」」

【では今からお二人に30000hit記念の健康診断をします☆】

「「…は?」」

【これまでの出番と不憫オチの多さから、お二人だけ特別にモル…モニターに選ばれました。これから『お前らがひっかからなきゃ皆健康だろう診断』をします】

「…なんだか嫌な予感がしてきた」
「奇遇だなオレもだ…ってゆーか今アイツ、モルモットって言おうとしたよな!?」

「あーあ…大人しくナースになってれば助かったのにな…可哀想に(笑)それじゃあせいぜい頑張れよ。婦長ーーーゥッ!お願いしまぁーす☆】

「はぁ〜い、お・待・た・せ〜♪」
「「ギャーーーッ!やっぱりキャサリンッ!!!」」
「ギャーって何よ!?失礼しちゃうわぁ〜!!」
「い、いやなんでもない。健康診断なんて聞いてなかったからな」

「そりゃそうよ、あの子が言い出したんだもの。これからは真面目に生きる、そのためには看護の仕方を習いたい、手始めに怪我の多いアンタ達の健康診断をしてやりたいって」
【ありがとう婦長!パブ江、立派な看護婦になります!】

「絶対嘘だ!オレ達をハメるために嘘ついてるんだ!じゃなきゃおかしいだろなんでナースなんだ!!」
「あらだって看護士は私しかいないんだもの〜ナース服しか無いに決まってるじゃない。この子は別にそれでも気にしないって言ってくれたし。下にズボン穿けば大丈夫だ〜って。それに…ねぇ?」

【婦長って言葉は…いい響きですよね…婦長!まぁ…逃がさな…健康診断するためには看護士が増えると困るからな☆】

「今アイツ逃がさないって言ったぞ!やっぱりコレ罠じゃねーか!」
「そうか…だから最初に『ナース服のレンタル10万』なのか〜!それならそうと最初から言えよッ!やり方が汚いぞパブリックフォンッ!」

【パブ江新人だからなんのことだか分かりません☆ちなみに本日のナース服の貸し出しは終了いたしました(笑)またのご利用をお待ちしております…それまで 正 気 な ら な】

「…こんなに邪悪な白衣の天使をオレは初めて見た。…なぁタクシー…ナースって、こんなに吐き気をもよおすような悪質なモノだったか?」
「いや、違うと思うけど…俺も…こんなに心臓に悪い健康診断を受けるのは初めてだ」

【はいそれではここで第二チョイス。
婦長による健康診断:無料
新人ナースパブ江ちゃんの健康診断:3万】

「くッ…背に腹は変えられん!し、新人ナースの教育の練習台になってやる!」
「………なぁミラー…聞いてくれ。俺、今一万しか持ってないんだわ…でもな、俺にはどうしてもこいつは手放せない」
「おいまさか…」
「分かってくれ…明日、明日俺にはどうしても逃せない勝負があるんだ!!」
「競馬か!競馬がそんなに大事か!?自分の命の危機よりも!」

【どーせ負けるのにな。ハイハイまいどあり〜それじゃあ婦長!お手本お願いしまぁーす☆】

「てわけで…悪いなミラー!俺は逃げるぜ!!」
「な、おいこの薄情者ッ!オレを置いてく気か!?」
「あらぁ〜?逃がさないわよぉ〜」
「ふふん、ハイヒールのキャサリンが迷界最速のこの俺の足に追いつけるわけが…ぁ、あれ?足がッ!足が思うように動かねぇ!」

【婦長の指示通り『おーい粗茶!』にはターップリしびれ薬を盛っておきました☆】
「流石よぉ〜パブ江ちゃん!貴女いい看護婦になれるわぁー…さぁ、採血しましょ?」
「ギャーーーッ!!」
「あぁ〜たまんないわぁ〜…この感覚ッ!」

ぢゅううううう…

【さて…タクシーが犠牲になったわけだが…ミラーマン。お前は『新人ナースパブ江の屈辱健康診断』を受けることを選んだわけだしな。そろそろ次の選択肢を選んで貰わなきゃなぁ〜?】

「!?…おい新人看護婦!その 屈辱健康診断 ってなんだ!?」

【興奮状態のキャサリンの前で採血するためにこのまま腕を出すか…それとも身長体重測定を先にするか】
「…身長体重測定」

【そうか…じゃあ測定するから脱げ。モチロン全部な。いや〜これで誰かさんもオマケで露出する恥さらしの仲間入りだな?】
「!お前ッ最初からそれが狙いか!!待てよ…クリスマスの時に自分で全裸をチョイスしたのはまさか…!?」

【さぁーてどうかな〜?そうそう、衝立設置の代金は3万です☆】
「ここでも金とるのかよ!?」

【婦長に素っ裸見られてもいいのか?】
「あらぁ〜パブ江ちゃん、私達看護婦は患者の裸なんかでいちいち大騒ぎなんかしちゃダメよ〜?患者さんも気にしなくっていいわよぉ〜私、年下には興味ないもの」
「そういう風に言われると色々と複雑だが…キャサリンはああ言ってるぞ?」

【そうだな…そんなフラグ未満、確かに気にしないぞ…婦長 は な?だけどガールやロストドールとか『キャサリン親衛隊』や、今コレを書いてる一部の『熱狂的キャサリンファン』はどう思うだろうな?オレが思うに、たぶん、明日からは今まで以上に毎日がデビルドッグが前を横切るような不運に】
「…御託はいいからさっさと衝立をよこせ!」

【まいどありー。あ、寒かったらストッキングは着ててもいいぜ】
「なんでよりによってストッキング限定!?」

【…様をつけろよデコスケ野郎。おいお前なに天使様呼び捨てにしてんだよ?失礼だろ?お前の髪型のモデルにさせてもらっておきながら】
「わかったよオレが悪かったよ!だからさっきからちょくちょくメタ発言するんじゃねーよ!お前も!!」

【計り終わりました婦長ー…うわ、コイツの身長…低すぎ?】
「もうやめろー!!」

【はい、ミラーマン。お預かりしてた服ですよー…ろっとぉ!手が滑ったぁ!!】
「おい、指パッチンどころかフルスイング投擲じゃねーか!どれだけ手ェ滑らせればそんなんなるんだよ!?」
「あら〜ダメじゃない患者さんの荷物投げたら。こっちまで飛んできたわよ〜。皆、手伝ってちょうだい」

「………皆?」

【衝立設置しててよかったなぁミラーマン。あの一日レンタルナース服、女子には人気だったんだよ】

「………まさか、いや、きっと幻聴だ。なんか衝立の外が賑やかなのは気のせいだ!」

【さて…見習いナースのガール、カクタスガール、ロストドールが現れた!どうしますか?
見習いナース達から服を受けとる:無料
パブ江ちゃんに代わりに取りに行って貰う:3万】
「この畜生がーーー!!出せばいいんだろ出せば!!」

【まいどありー。お、ロストドールかんむり似合うな。やるよそれ。服じゃないしオレのじゃないし】
「服じゃないけどオレのだろうがーーー!!」

【あ、そうだ。これ見ろよガール!絶対面白いから。これこの身長!なー言っただろ?アイツやっぱりヒールで誤魔化して】
「テメー早く戻ってこい!ぶん殴ってやるッ!」

【そんなに怒ると血圧上がるぞ☆】
「誰のせいだ!!」

【じゃあ最後は採血ですねー。それじゃあ頑張れよ、ロストドール】
「うん…!」

「は?え?おい、パブリックフォン!お前がやるんじゃないのか?」

【パブ江ちゃんです☆だってパブ江の健康診断は採血はしないからな】
「だって…お前さっき、採血と身長体重とどっちを先にするって…」
「ロストドール、王子様からかんむり貰ったから自分も手伝うって言って聞かないのよねー」
「二人ともいい子ねぇ〜」

【いえ、いいんです!パブ江、ロストドールに採血やらせてあげたいんです!………ナース服作った分の代金天引きして…トントンってとこか…】
「売ったな!?お前幼女にオレの採血をする権利を売ったな!?」

【………ロストドールは針のベテランだから大丈夫大丈夫】
「こっちを見ろォオオオ!!!」

【あ、動くと】
ぶすっ
「ギャアアアーーー!!」

【ほら危ない。仕方ない…婦長!お願いしまぁーす☆】
「ま・か・せ・てぇ〜!!」
「ギャーーーッ!!」
ぢゅううううう………




満タンになった二本の注射器を抱えて艶々しているキャサリンと見習いナース達を見送り、パブリックフォンは倒れているタクシーの財布から万札を一枚抜き取った。

「ま、こんなのに引っかかるようじゃ頭の結果は診断しなくてもだいたい分かりそうなもんだ。これからは…注文の多い健康診断には気をつけるんだな?」

ぴったり十万あることを確認したパブリックフォンは、ある人物に電話をかけながら二人が倒れたままの部屋を後にした。

「…あ、ボーイか?こないだのGPSの話なんだけどさー…うん、そう。代金用意できたから。外してくれ。ただし…今度は余計な改造するなよな?」



――――――――
クイズ配付繋がりということで何気にクリスマスの時の企画、ニルスフォンと話が繋がっています。すごい不親切設計!

フォンの復讐と、巻き添えでとばっちりにあうミラー。おそらくあのいらんことしいの鏡がGPSの存在をバラしてさんざんバカにしたんだと思います。

メタ発言、分かりにくいことこの上ない吹き出し、酷すぎるネタ…あい変わらずもって帰り辛いオマケですが、お楽しみいただけましたら幸いです。

この後の二人からの復讐も恐い。

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