GET

□【頂】 秋様より「一方通行」(※シェフ審)
1ページ/1ページ




珍しく鍋のグツグツ煮込む音もしない静かな厨房で、シェフは調理台の前で佇んでいた。

「・・・・・・・」

調理台の上には、女の子が好きそうな可愛らしい柄の包装紙に包まれた箱。
誰が置いたのかは見た目では判断出来ないが、シェフはこの箱の送り主が誰か知っていた。
それは当ホテルの看護婦を担っているキャサリンである。
キャサリンはシェフに密かに思いを寄せ、一週間前からこうしてお菓子や弁当などをシェフ宛に隠れて置いていくのだ。
シェフが見かけて咎めようとしてもさっさと出て行ってしまって結局怒れずじまい、廊下では不思議なほど会うことが無いのだから未だにその行為をとめることが出来ないのである。

シェフはぞんざいに包装紙を破る。
今日はどうやらクッキーのようである。
シェフは中身を確認するものの、食べたことは一度も無かった。
彼女が作ったものは全て、グレゴリー行きである。
シェフが捨てようとしたところをグレゴリーがもったいないと止めた。
それからシェフの代わりに彼が食すことになったのだ。(むしろグレゴリーは食べたがっていたが)

どうせまたグレゴリーの茶菓子にでもなるのだろうと、シェフは箱を台の脇に寄せて料理の続きをするべくきれいに研ぎ澄まされた包丁を握る。
そして彼には珍しい溜息。

横目で箱を睨み付けながら今日主役になるであろう肉を真っ二つに切った。



「やぁシェフ、今日は何を作ってるのかな?」

審判小僧が庭に続く扉からひょっこりと顔を出した。
シェフは、もうそんな時間かとまだ微かに日の光が漏れる窓の外を見た。
恋人である審判小僧はシェフの様子を見にたまに訓練が終わる六時ごろにやってくる。
だから今は、もう時計の針が六時を指したところであろう。
料理も殆ど完成していた。
もうすぐ夕飯の時刻である。

使いっぱなしのボウルやらまな板などを洗うために洗剤を手に取ろうとしたとき、視界に審判小僧が先程台の端に置いた、キャサリンの作ったクッキーが入っている箱をまじまじと見ている姿が入った。



前にグレゴリーが話していた、浮気現場を目撃されたときの心境はこれなのだろうか。


どう説明すべきか分からず、殆ど喋らず無口なため、シェフが言い訳をする前に審判小僧はシェフの方を真っ直ぐにみた。
何か言われると構えたが、審判小僧は顔色一つ変えずに

「キャサリンから貰ったんだね、この破れた包み紙は彼女が持っていたから分かるよ。血が入ってなきゃいいけどね」

と冗談交じり言い、最後は笑ってその箱を元の位置に戻した。
それ以外何も言わずに立ち去ろうとする審判小僧に、シェフは、何故何も言わないのかと疑問に思った。


何故気にしないのだろう、何故それに一々自分は苛立っているのだろう。

もやもやした気持ちがシェフの中で爆発し、気付けば出ようとドアノブに手をかけた審判小僧の体を抱き締めていた。



「わ、ちょっと、シェフ?;」

「…何故何も言わない、何故気にしない」

「え、…何故って言われても…」

シェフの腕の力は強く、審判小僧が抜け出そうとすれば益々強くなった。
答えるまで離す気は無いのだろう。
体をシェフに向けようにも背後から抱き締められている状態なので向けられず、仕方なく扉に話し掛ける形になってしまった。

「…気にしてほしいのかい?」

審判小僧がたどたどしく背後のシェフに尋ねる。

「…そう…かもしれない」

シェフ自身よく分からないのだ。
彼の口からはっきりとした言葉は出てこなかった。


その返答を聞いて審判小僧は

「・・・あのねぇ、そりゃ僕だってちょっとは思ったけど、考えすぎるのも駄目だと思ったんだよ。」

と少し拗ねた口調で言い、同時に呆れ顔で項垂れた。
そしてシェフの力が緩んだ隙をついて腕の中から脱出すると、審判小僧はドアノブに手を掛けた状態でシェフを見据えた。


「君がグレゴリーに渡してたのは知っていたし、キャサリンに咎めようとしてたのも知ってたよ。だから僕は、あえて何も言わない」


でも長引きすぎたら僕だって怒るからね。


言いたいことを言って満足したのか、審判小僧は踵を返して去っていった。



バタン、という音と共に、再び厨房に静けさが戻る。




それからすぐに、シェフは今日こそキャサリンの下へはっきりさせにいくことに決めたのであった。





−−−−−−−−−−−

はいやまなしおちなしいみなしすみませんでしたぁぁぁぁぁあ!!!

最後が本当に意味の分からない文章に・・・!!!
取り敢えず審判小僧はシェフが思っているよりも気にしているしそれを上回るほど信頼しているんだよと描きたかったんですごめんなさい・・・;;

予定より時間が掛かってしまってすみません;;

ナンダコレ様、キリ番2500、踏んで頂きありがとうございました!
こんなものでよければ受け取ってください!

誤字脱字等あれば書き直します。



−−−−−−−−−−−
まとめて攫っていいですk(ry…ナンダコレです!
秋様より2500hitのキリ番リクエストさせていただきました「シェフ審」小説です!

可愛いって…可愛いってこうゆうことを言うんだね!ってレベルで動悸が止まりません!!理解ある審判…なんていい子!ウチの黒い審判にも見習わせたい…!
山あるよすごいあるよとかなんとか以前に最初っからクライマックスすぎだと思います!自分の心拍数が!!…あー…今の自分は本気で引かれかねない…理性仕事しろ!

秋様、素敵なシェフ審小説をありがとうございました!大事に飾らせていただきます!

さてさてこんな素敵な小説をくださいました神…秋様のサイト「再熱って大事」はトップのリンクからいけちゃいます!ぜひどうぞ!!




[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ