GIFT

□【捧】審判ずきん。(審判、ミラー、カクタスでギャグ)
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むかしむかしあるところに…ジャッジがとても大好きな、審判ずきんと呼ばれている青年がおりました。

審判ずきんはジャッジが大好きなあまり、よく周囲の人や物を倒してしまったり、壊してしまったり…毎日のように親分である審判小僧ゴールドずきんに怒られていました。

しかし…一向に改善される気配が見られないため、ある日、審判小僧ゴールドずきんはキッツイお仕置きを据えることにしました。

「審判ずきん、審判ずきんや。ちょっと地下に住んでるミラーマンの所までお使いに行って来てくれないかい?」

ハイ、と荷物の入ったカゴを差し出された途端に苦い顔になる審判ずきん。

「えぇ〜…アイツの所に行くんですか?嫌だなぁ〜」
「ハッキリ言うねぇ…でもこれもお仕置きだから我慢しなさい」

だって…と口を尖らせる審判ずきん。

「ミラーマンの所に行くといっつもいっつも…ずーっと嫌味と自慢話ばっか聞かされるし、そのわりに帰ろうとすると引き止められるし…」
「…口は悪くても根は寂しがり屋さんなんだから、我慢してあげなさい」
「うーん…」
「…嫌なら別のお仕置きもあるけど?」
「喜んで行ってきます」

言葉とは裏腹に不承不承といった感じで嫌々ながらも荷物を受け取り、審判ずきんは部屋を後にしました。
ドアを閉める時、そういえば親分、と審判ずきんは振り返って言いました。

「金色のエプロンはないと思います!」
「…本当にハッキリ言うねぇ」


廊下に出た途端、審判ずきんは深くため息をつきました。

「…面倒くさいなぁ…そういえばこの荷物、何が入ってるんだろう?」

そういってミラーマンへの贈り物を何の躊躇いもなく開ける審判ずきん。

「パンとワインと…『月刊・黄金の審判』…どうゆう組み合わせなんだろう?」

明らかにその辺にあった物を適当に詰め込んだような贈り物のチョイスに首を捻っていると、廊下の向こう側から陽気な鼻歌が聞こえてきました。

「俺は荒野の猟師〜♪カクタスハンタぁ〜♪」
「どうしよう…ミスキャストの塊が服を着て歩いてきちゃった…」

頭を抱えた審判ずきんに配役バッチリのミスキャストが話しかけてきました。

「よう審判ずきん!浮かない顔してどうしたんだアミーゴ?」
「…いやなんでもない…てゆーか今日はどうしたのガンマン。とうとう平和主義にでも目覚めて当たらない銃士は廃業したの?」

その言葉にカクタスハンターは変な顔をして審判ずきんを見ました。

「はぁ?…ガンマンだって?おいおいしっかりしてくれよ審判ずきん!オレは昔から猟師だぜ?」
「あれ、そうだっけ?…まぁいっか」

審判ずきんは、ますますいつもと違う様子の友人に首を捻りましたが、当たらないならどっちも同じだという結論にたどり着き、気にしない事にしました。

「ん?なんだよ審判ずきん!ずいぶんいいもの持ってるじゃねぇか!」

カクタスハンターが目ざとく審判ずきんの持ったワインボトルを見つけ、目を輝かせます。

「…飲む?」
「いいのか!?恩に着るぜアミーゴ!!」
「おつまみもあるよ。パンだけど」
「おお!気が利くじゃねーか!審判ずきん!!」

差し出されたワインとパンを平らげなからカクタスハンターは、審判ずきんに礼を言いました。

「こんなにいいワインは久しぶりだぜアミーゴ!ありがとよ!」
「いやいや、礼には及ばないよ!だってこれミラーのだもん。お礼ならミラーに言ったほうがいいと思うよ?」

ぶーーーっ!!!

それを聞いた瞬間、カクタスハンターはワインを盛大に吹き出しました。

「ブハッ!ゲホッ!ゴホッ…!!」
「あれ、大丈夫?そんなに慌てて食べるからパンが喉に詰まるんだよ…ワインで流し込んだら?」
「ミラーのワインでか!?とゆうか…他人のモノを勧めるなよ!!食っちまったじゃねーか!!」

審判ずきんは涼しい顔で大丈夫大丈夫とカクタスハンターの肩を叩きます。

「アイツだってちゃんと謝れば許してくれるよ!!大丈夫!ボクも一緒についてってあげるから!!」
「審判ずきん………なんか腑に落ちないのは俺の気のせいか…?」
「気のせいじゃない?さぁ出発!!」
「…気のせい…なのか…」

…こうして審判ずきんは通りすがりのカクタスハンターをまんまと道連れにし、ミラーマンのいる地下に向かいました。



「………そんなわけでワインとパンはなくなっちゃったけど…カクタスハンターを許してあげて!彼は別に悪気があってやったんじゃないんだよミラー!!」
「うっうっ…ミラー…本当にすまねぇ…ッ!!」
「面倒が酔っ払って泣いてる面倒を抱えて来やがった!!てゆーか…毎回いちいち天井の鏡破って来るんじゃねーよ!!俺に恨みでもあんのかお前!!」
「だって歩いてくるより天井から来た方が早いし」

酔いが回り男泣きをし始めたカクタスハンターを抱えて、天井からぶら下がっている審判ずきんを前に、ミラーマンは頭を抱えました。

「いったい何がどーなってんだよ、こりゃ…」
「二人は初対面でしょ?だから道中にミラーの説明をしてたんだけど…なんか途中から恐ろしくなったみたい」
「頼む!妹だけは…妹だけは助けてくれッ!アイツは関係ないんだ…!!だから妹だけはぁッ…!!」
「おい待て…いったい何を吹き込んだ!?」
「うーん…普通に説明をしただけなんだけどなぁ?」

審判ずきんが首を捻っていると、ミラーの足にしがみついて懇願していたカクタスハンターがしゃくり上げながら言いました。

「うぅ…審判ずきんが…ミラーは多分『ワインがなければカクタスハンターをテキーラにすればいいじゃない』って言うだろうねって…」
「言わねぇよ!てゆーかやっぱり変な事吹き込んでんじゃねぇか!!」
「君なら言いそうかなって思って!」
「説明に推測を混ぜるな!!」

ぜぇぜぇと肩で息をしているミラーに、審判ずきんがワインボトルを差し出します。

「そんなに興奮すると健康に悪いよ?まぁ一杯」
「だからソレは俺の酒だーーーッ!てゆーかソレもうガンマンの飲みかけじゃねーか!いるかそんなもん!!」
「…じゃあやっぱり…ガンマンをテキーラに…」
「しねぇよ!!だいたい…原因は全部お前じゃないか審判小僧!」
「うんそうだね」
「もう殴っていいかお前!?」

ミラーは疲れた表情で椅子に腰掛けました。

「頼むから、少しは悪びれろ…」
「善処して前向きに検討しておくよ」
「それしないって事じゃないのか…?もういい…とりあえず本だけでも無事に届いたわけだし、大目に見といてやる。…茶くらいは出してやろう。座れ」
「おやつもヨロシクね!」
「ちょっとは遠慮しろ!」

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