キミボク・キラメキ・本屋サン
□その3
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木下を問い正して思い直して貰おうという思惑は、彼の実直なセリフに崩れ去った。
あの後結局そのままボクは返答する事無く、木下に雑誌のリミットチェックを命じて自分の仕事に戻った。
彼はその後ボクにその話をする事は無く、それから3日は経とうとしていた。
今日は木下とシフトが被っていない。
ある意味安心して、ボクは静かにコミックを巻いていた。
コミックをシュリンクに通す単調な作業。
こういう時、色々考えてしまう。
日々が急すぎて今まで思い付かなかったが、何故木下はボクが好きなんだろう。
『友達の域を超える』程に。
しかも彼とボクは『同性』なのに。
ボクの中の『常識』と『状況』が交差する。
どうすればいいんだろうとしか、思い付かない。
ストレスを胃に感じていると、目の前に大きいビール腹が写し出された。
「生野くん。ちょっといいかね。」
「はい。」
「実はだね…んー急で申し訳ないんだが…」
「…?」