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ああ、こんな予感あたって欲しくなかった。


あのとき、あんなことを言わなければ良かった。



鍵が開いたままのドアをくぐり、一歩臨也の家に入れば、ムーンと血のにおいが漂う。


クソッ、これは臨也の血のにおいだ・・・。


ドクドクと心臓の音が、物音一つしない部屋に鳴り響くようだ。



だが、まだ臨也の臭いがする

ってことは、生きてるはずだ・・・




急いで臭いのもとを辿れば、そこは風呂場だった。



ああ、馬鹿なことをするなよ・・・



勢いよく開けたドアの向こうにあったのは・・・




「臨也!!!」


床に転がった見覚えのあるナイフに

真っ赤に染まった浴そうとそこに手を突っ込んだ臨也の姿が・・・


何をしたかなどすぐに分かった。



「お、おい」


抱き起こした臨也は、ぐったりして・・・まるで死んでいるかのようで恐怖する。



小さく上下する胸だけが、生きている証拠だ。


だが、あまりにも弱いそれは、大変な状況を表すのに十分過ぎるほど・・・


なんで俺は、あんなことをいっちまったんだ。


臨也がいなくなることは、俺にとって最大の恐怖なのに・・・



ゆっくりと臨也の手を浴そうから引きぬけば、手首にざっくりと切られた大きな傷。


自分でやったのだろう・・・



ああ・・・痛かったはずだ・・・俺には、想像できないほど・・・



「わりぃ・・・臨也。」



一番傷つけたくない人を傷つけてしまった―――――


俺のくだらない不安のせいで




ああ゙あああ゙あ゙



心が悲鳴をあげる



叫びだしたい気分だった・・・




ガチャリ・・・


念のために、と呼んだ新羅とセルティの来訪の音がした―――――







沸き上がる後悔の渦・・・

気づいてからじゃ遅い―――――






本当は、お前の笑顔が見たかった・・・









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