MAIN2

□失いたくない 1
1ページ/1ページ

※死ねたではありません
静雄視点



本当は、臨也のことが好きだ。


ただ、のぞみなどなかったから心の奥底にしまっていた。


だから・・・


 *******


「俺実は、しずちゃんのことが好きなんだ。」

「・・・は?」

フリーズしていしまって、一瞬何を言われたかわからなかった。


いつもと同じように喧嘩をしていたはずだ。

急に臨也が、止まったかと思うとクルリと俺の方に向き言われたのがこの言葉だった。


ありえない。

臨也が、俺のことを好きだなんて・・・


好きなやつから告白されたら、普通は喜ぶところだろう・・・

だが、あいては、あの折原 臨也だ。

信じられなかった。


「だから、俺しずちゃんのことが好きなんだよ!!」

間抜け顔で、固まったままの俺にいらだったのか、少し眉をよせ臨也が言った。


俺は、もしかするとだまされているのかもしれない・・・。


そんな思いが頭をよぎった。


俺は、何度もこいつにはめられている。


今回も俺の反応を楽しんでいるのかもしれねぇ・・・


「気持ち悪ぃ・・・」

気がつけばとんでもないこと口走っていた。


「そうだよね・・・」

悲しそうに呟いた臨也は、演技をしているように見えなかった。

だが、本当に演技じゃないかと言われれば、はっきりと答えることは出来なかった。

「なら、どうしたらしずちゃんは俺を好きになってくれる?何でもするから」

臨也が、寂しそうにほほ笑みながら言った言葉に、心がゆれる。


もしかすると、本当かもしれない。

ならば、試そうと思った。


臨也のことだ、死んだら愛してやると言えば、嘘なら笑い飛ばすだろう。

逆に、本気で、死のうとしたら、止めればいい。
それくらい簡単だ。


ああ、もし臨也が、俺のことを好きだったらどれだけ幸せだろ・・・

ゆっくりと息を吸った。

「てめぇが死んだら、愛してやる」

臨也が息を呑んだのがわかった。

「そっか、そうだよね。しずちゃんは俺のこと殺したいくらい嫌いだもんね。」
「・・・」

どう反応すればいいかわからなかった。

「わかった。しずちゃん、必ず約束は守ってね。次に生まれ変わったら、好きになってよ」


ふわりと笑った臨也は、とても綺麗で・・・


「危ない!!!」

思わず反応が遅れた。

カラン

かわいた音が響いく・・・

マジでやると思わなくて、正直焦った。

コンクリートの上に俺によって叩き落とされたナイフが転がっていた。


「疑って悪かっ・・・」


た。と続けようとして言葉を失った。



臨也は、新たに取り出したナイフを首に当て・・・


まさか、まさか

「やめろ!!」


ひいた。




血がふきだし臨也は、ゆっくりと倒れていった



俺の手は、虚しく空(くう)をきった―――――。






「あ゙あ゙ああ゙ああ゙ああああ!!!!!」


俺は、自分の部屋にいた。


いつもと変わらぬ景色。


だんだんと脳が覚醒していく。


飛び起きれば、まだ朝の3時だった。


バクバクと心臓の音がうるさい。



ああ、まったく・・・


「最悪だ」


臨也が死ぬ夢だなんて・・・



それは、自分にとって一番嫌なことだ。



ましてや、自分が追いやって死ぬなんて・・・


臨也・・・



なんでこんな悪夢をみたか、分かってる。

俺は、昨日、今夢で見たことと同じことがあった。


臨也が急に告白して、同じように俺はあの台詞をいった。


ただ違ったのは、それを聞いたあとの臨也の対処だけだ。


臨也は、それを聞いて笑った。


声をあげて笑った。


だけど、笑っているのと対象的にあいつは、悲しそうな顔をしていた。



臨也は、そのあと凄い速さで逃げて、俺は呆然としていて追うことが出来なかった。





そして、そのまま俺は、家に帰った。




ああ、なんだか嫌な予感がする。


今すぐ臨也の安心を確かめないといけない――――


俺は、よれよれになったバーテン服のまま家を飛び出した。





―――――――――
つづきます

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ