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□嗚呼
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あの後、急いで臨也の全身を調べたら、服のしたなど、普段隠れている場所は、全て傷だらけで・・・
酷い有様だった。
すぐさま傷を綺麗にして治療し、点滴をうたせてある。
熱は39度を軽くこえていて、まったく目を開く様子はなかった。
おい、臨也・・・不死身じゃねぇのかよ。
なんで、熱なんか出してんだよ・・・
静かにベッドに寝かされた姿は、痛々しい。
苦しそうに息を吐く臨也の頭を優しく撫でた。
――――気付けば、好きになっていた。
そんなのは、恋愛小説のなかだけだと思っていた。
化け物の自分には、縁の無いものだと・・・
ましてや、殺しあいの喧嘩をしている臨也をなんて・・・ありえるわけがねぇ
どこにもそんな要素はなかったはずだ・・・
だが、
俺は、臨也のことが好きだったらしい―――
でねぇとこの感情の理由がない。
臨也が倒れたとき感じたのは、深い焦燥感と失いたくないという気持ち―――――――。
いつも感じていた臨也へのいらつきが、怒りとはまた違ったものだと今気がついた。
門田に臨也が抱き着いていたのを見たときは、言いようのない怒りを感じていたがあれは、きっと嫉妬という感情だろう・・・
自覚したら、意外とすんなり自分の気持ちを受け入れられた・・・。
ああ、俺は臨也のことが好きだったのか・・・と。
サラサラと臨也の髪の触り心地が良い。
早く目を醒ましてくれ、臨也。
こっそりと布団から、だされた手を優しく握った。
トントン
小さな音がなった。
「静雄入るよ」
「おう」
きっと検査が終わったんだろう・・・
新羅は、手にたくさんの紙を持っていた。
ちらりと繋がれた俺と臨也の手に視線をよこしたのだが、何かを感じとったのか、何も言わなかった。
「静雄・・・どうして臨也が、こうなったのか臨也から何か聞いてない?」
その言葉に俺は、臨也が言っていた話を伝えるために、口を開いた―――――――――
(臨也の過去の話を・・・)