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□違う
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あ・・・


気づけばしずちゃんに酷いことをいっていた。


俺は、こんなことを言おうと思ったんじゃない・・・

本当は、しずちゃんのせいじゃないってことくらい知ってる。


ぽと、と掴んでいた服を放された。


近くにあるしずちゃんの顔。


それは、とても悲しそうだった・・・。


しずちゃんに、そんな顔をして欲しくない。


突然湧き上がる思い・・・。


ごめん、違うんだ。


本当は、しずちゃんのせいなんかじゃない。


しずちゃんは、どこも悪くないんだ!!


だから、だから・・・



言いたいことはたくさんあるのに、言葉にできない。


口はパクパクと開いたり、閉じたりするだけで・・・意味を成さない。



「悪い・・・俺のせいだ」


しずちゃんが、俺に向かって頭を下げていた。


しずちゃん、謝らないで・・・


俺が、言ったことは間違っているんだ。


だから・・・そんなのに肯定して自分を傷つけないで・・・


「悪かった」


二度目の謝罪。


目の前が暗くなっていく。


俺の口は、いまだに声を出そうとしない。


役立たずで、ただのお飾りのようだと思った。





やっぱり俺は・・・失敗作だ・・・


人を満足させることもできず、傷つけてばかり・・・。


「ごめんね、しずちゃん」


涙とともにこぼれたのは、小さな俺の心。





しずちゃんに対する俺の心が、変わりつつあるのを感じた―――――――



(しずちゃん・・・)
(君には、笑っていてほしいなんて)
(なんで思うんだろう・・・?)

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