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□素直に
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ねえ、いつからだろうか?

俺たちの距離が、あいてしまったのは―――――――




しずちゃん、君の心はどこにあるの・・・?







「い〜ざ〜や〜!!」
「おお、恐い恐い〜」



俺たちは、恋人同士だよね。


どうして、そんな恐い顔をするの?


なんで、昔みたいにギュッと抱きしめてくれないの?


「てめぇ、何しに池袋にきやがった!!」


そんなのしずちゃんに逢いたいからに決まってるじゃん。


だけど、『あまのじゃく』の俺は、素直に、そんなこと言えるはずがなくて・・・


「仕事に決まってるじゃん。馬鹿なのしずちゃん」

「っ・・・なんだとてめぇ・・・」


しずちゃん、嘘だよ!!

本当はしずちゃんに逢いたかったんだ!!


だから・・・

そんな傷ついたような顔しないで


「し、しずちゃん、ごめ「ああ、うるせー。」」


ぱしん


無意識にしずちゃんのほうに伸ばしていた手を叩かれた。


ともに、ごめんと言った言葉をしずちゃんの声で掻き消される。



痛い・・・

手の平がじんじんする。




「もう、てめぇなんざ大嫌いだ」
「!!」


き、らい・・・?


しずちゃんが、俺のことを・・・?

大嫌い・・・だって?



じんじん

さらに手の平が痛く感じる。



「う、嘘でしょ、しずちゃん!!!嘘だよね・・・?だって、俺たち・・・」
「ああ゛?なんで俺がノミ蟲なんかに嘘をつかねぇといけねぇんだ?」



きっぱりと言いきったしずちゃんに俺は、背中を向けて走りだした。




本気だったら、どうしようって、怖くて、しずちゃんの顔を見れずに俺は、池袋から逃げ出した。







*******

遠ざかる臨也の背中。

これで良かったのだ、と自分に言い聞かせる。

素直じゃないあいつが悪いのだ。


本当は、あいつを追いかけて、ぎゅっと抱きしめて『大好きだ』といってやりたいが、今日はそんなことやってやらない。

俺は、臨也に対して今、とても怒っているのだ。

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