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□確信
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おかしい、おかしい・・・



「いざ兄・・・?」



こんなことあるはずがない・・・




「いざ兄・・・」




だって、だって俺は普通の人間のはずだろう・・・?



「は、はは、はははははは」



笑いが止まらない・・・。
ああ、なんて馬鹿げているんだ・・・。



「いざ兄!!」
「いざ兄、ねえ、大丈夫?」



はあ・・・

「・・・クルリ、マイル。俺は、もう人間じゃない・・・」


困ったように笑うと二人は、悲しむような顔をした。


「そんなことない。そんなことない!」
「いざ兄はちゃんと人間だよ!!」
「そうだよ!!いざ兄は、ちょっとはやく治りやすいだけだもん!!」


顔を真っ赤にさせて必死に、俺の言葉を否定する。



だけど・・・

「いや、父さんの実験は半分成功してたんだよ。・・・俺は、人間じゃない。」

真実は、かわらない。




二度目となる台詞に二人は、顔を歪ませる。


「で、でも・・・「普通の人間なら、硫酸を腕にかけられたら治らないんだよ。」」


クルリの言葉をさえぎり言い切った。



そうでもしないと・・・嘘に縋り付きたくなりそうだった。






「いざ兄・・・泣かないで」


「え?泣いてるのは、」


冷たい。
頬を何かが、すべりおちた。



・・・どうやら、俺は、泣いてるらしい。




情けないなぁ・・・





強く見せられない自分が嫌だった。
だが、心とは反対に余計に涙は溢れた。



やばい、止まらない・・・



俺は、耐え切れなくて、妹たちの前で、大泣きしてしまった。





小さい手が、俺をなぐさめてくれた・・・










17歳の夏、
俺は、人間を捨てた――――――。

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