MAIN

□変化
1ページ/1ページ

クルリ、マイルがまだおかしくなかった頃。
なので、口調は二人とも同じ感じです。






「いざ兄、いざ兄・・・だい・・・うぶ・・・」
「いざ兄、おき・・・」


「「いざ兄!!!」」

呼ばれる声に目を覚ませば、クルリとマイルが泣きながら、俺の傍らにいた。


二人ともどうしたんだろう?
と、思った瞬間思い出した。


ああ、そうだ。
俺は、父さんに・・・。


思わず右腕に触れるとぐるぐると沢山包帯が巻かれていた。
ただ巻いているだけの布に、きっと二人がやってくれたのだろうと、確信した。




「いざ兄、だいじょうぶ?」
「いざ兄、痛くない?」


顔を歪ませて問う妹たち。


きっと腕のことを言っているのだろう・・・。
包帯を巻いてくれたことからして、みているにちがいない。


「大丈夫、痛くない」



ギュッと二人同時に抱きしめてやると、さらに泣き声が大きくなった。
不思議なことに、本当に腕も痛くない。





ぽんぽん、と背中を優しく叩いてやると二人からも抱き着いてきた。


よほど心配してくれたのだろう。
なんだか、抱きしめた暖かさと同時に心が温かく感じた・・・。







しばらくすると、ようやく落ち着いたのか、俺から離れた。


しかし、泣き腫らした目は痛々しそうだ。




俺は、そぉー、と腕の包帯をといていく。
一応、確認しないわけには、いかない。


だって、俺はしずちゃんと違うから・・・。




クルリとマイルが息を飲む。
ゴクリ、俺は、唾を飲み込んだ。







「は・・・?」

俺と双子は目を見開いた―――――――。






(どうして?)
(傷ついたはずなのに・・・)
(怪我が一つも)
(無いんだ・・・?)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ