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□狂った歯車
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「お前は、失敗作だ。」
「もう、いらない」
「うああああああああ゛あ゛」
俺は、飛び起きた。
背中から、嫌な汗がだらだらと伝う。
周りは、まだ暗かった。
「はあ・・・、まだ4時か・・・」
かすかに光る携帯から時間を読み取ると、額に手を当てた。
「まったく・・・今更こんなのを思い出を夢で見るなんて思わなかったよ」
振るえる声・・・。
ああ、まったくいやだ。
こんな夢を見るなんて・・・。
過去の話じゃないか・・・
「死ねばいいのに」
頭の中でそんな言葉がこだました。
その声は、女であったり、男であったり・・・宿敵の静雄・・・そして、父のもの。
あぁ、どこから狂ってしまったんだろう・・・、父さんも俺も。
*****
事の発端は、父さんにしずちゃんを逢わせたことだった。
その時は、まだしずちゃんとよく喧嘩するものの仲が良かった。
しかし、父さんにしずちゃんの『力』のことを教えるべきではなかった。
父さんは、しずちゃんの『力』をみたときから、変わってしまった。
優しい人だったのに急に何かにとり憑かれたように研究に打ち込むようになった。
研究内容は・・・『人を超えた存在』
何を目指しているかなど一目瞭然だった。
尊敬し好きだった父さんから、日に日に離れていく。
俺は、怖かった―――――。
ある日、父さんに呼ばれ書斎にいった。
その日は、昔の父さんのように優しい微笑みを讃えていて・・・やっと戻ってくれたのだと喜んだ。
だが・・・
目の前に広がる光景は、いとも簡単に俺の希望を打ち砕いた。
「どうしたんだ?」
思わず書斎の扉を開けたまま固まった俺に父さんが声をかける。
以前まで本好きの父さんらしい本の古臭い臭いがした書斎は、跡形もなく無くなっていた。
あるのは、沢山のビーカーや薬品など理科室にあるものばかり。
中には、一般人が手に入れられないような塩酸や硫酸もあった。
「父さん、前まであった本はどうしたの?」
聞かないほうが良いに決まってるのに、尋ねてしまった。
「あぁ、あのゴミか?あれなら全部売って薬品にかえた。意外と高く売れて驚いたよ。」
昔の父さんからは考えも出来ない言葉。
「そんなことより臨也、とうとう薬ができたんだ!!飲んでくれ!!」
そういって瓶を突き出す姿に昔の面影は全くなかった――――――――