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「臨也・・・」

小さく息をする臨也に呼びかける。

涙は、数分前にやっと止まった。

ああ、こいつは、こんなにも小さかったんだな。

俺の腕の中に、すっぽりとおさまる臨也は、簡単に壊れてしまいそうだった。

「臨也・・・」

何度目だろうか?この名を呼ぶのは・・・。

毎日のように喧嘩していたころとは違い、すごく遠く感じる。

「臨也・・・俺は、お前に言いたいことがあるんだ。」


ピクリ、とまぶたが、震えた。

・・・やっと反応した!!。

「臨也!!」

少しずつ目がひらき、ルビーのようにあかい深紅の瞳が姿を現した。

「・・・」

寝起きのせいか、泣いていたせいか、分からないが・・・虚ろな視線を漂わす。

と、そのとき臨也の瞳に、大きく俺の顔が映った。

「・・・だ「臨也!!」」

だれ?と聞こうとしたのであろう言葉を遮り、きつく抱きしめた。

「!!!え?な、何!!」

慌てて俺を離そう臨也は、もがくが、離してやる気などない。

いつから、呼んでたと思ってんだ・・・。

「臨也・・・」

不思議なことに臨也は、もう抵抗をやめてただ、困ったような顔で、俺を眺めていた。

なぜか、その瞳には、悲しみがうつっているような感じがする。

そんな・・・顔するなよ・・・。


「臨也・・・好きだ・・・」

そっ、と額にキスを・・・おとした―――――






(俺は、その瞬間)
(臨也が目を見開いたのを)
(知らない・・・)
 

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