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静雄視点
・・・なあ、臨也・・・どうしたらお前は、俺を思い出してくれるんだ・・・?
新羅も知らなかったんだ・・・。
はは・・・使えないよな―――――――
「ただいま、今帰ったわ」
突然、俺の後ろで若い女の声がした。
・・・どうしてだ?
・・・情報屋という仕事のせいか人を寄せつけなかったんじゃないのか?
俺の目の前が真っ暗になるように感じた・・・。
「あら?平和島 静雄?あなたがこんなところに一体なんのようかしら?」
「ああ・・・、臨也に会いに来たんだが・・・、どこにいるか知っているか?」
・・・嗚呼、俺は今どんな顔をしているのだろう?
・・・きっと、ひどい顔だろうな。
「ひとつ、いいかしら。言っとくけど私は、彼の彼女ではなく、秘書よ。勘違いしないで頂戴。私は、誠二だけを愛しているの」
・・・よかった・・・俺の予想は違っていたらしい・・・。
はあ、と止まっていた息がこぼれた。
こんなことですごく一喜一憂するなんて、自分で思っていたより、あいつのことが好きらしい・・・。
「それと臨也はきっと寝室じゃないかしら。私は、もう帰るわ。その資料を渡しといて頂戴」
それだけ、言うと本当にさっさと彼女は帰ってしまった。
俺の手には、渡された資料・・・。
彼女は、俺の気持ちを知っていたのだろうか?
俺のおびえを・・・
これでもう、逃げられない――――――。
臨也・・・俺は、お前に拒絶されたとしても、本当の気持ちを伝えよう・・・
・・・だから、お前も俺のことを思い出してくれ・・・お願いだから・・・
『静雄、臨也の記憶を取り戻したかったら・・・本当のことを伝えてみたら?』
「それで思い出すのか?」
『それはわからないけど・・・。記憶は忘れてても、心では覚えているはずだよ。君のことを・・・』
『臨也のだすこたえに恐れて、そんなことさえ、できないのなら君は臨也のことを・・・好きでいる資格はないよ。』
(嫌いでもいいから・・・)