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(静雄視点)

この頃、ノミ蟲を見かけない。
いつもは、3日に一度は来ていたのに・・・。
あいつが最後に来て、もうかれこれ1ヶ月が経っている。
おかしい・・・いやなことが頭を駆け巡るがあいつに限ってそんなことはないだろうと否定した。




「静雄、この頃いらだってるな」
「すみません、トムさん」
「いや、別にいいんだけどよ。何か悩みがあるなら聞くべ」
「・・・ありがとうございます」
かつて先輩でもあった上司の言葉にうれしさを感じるものの相談ができるはずがない。ノミ蟲のことが心配だなんて・・・。



仕事が終わったら、臨也を探す。それがこの頃の習慣にもなっていた。

やっぱり見つからねえ・・・。

明け始めた夜に家へと方向を変える。



「〜♪〜〜♪〜」
「もしもし?」
岸谷 新羅と表示されたディスプレイにしかなく電話をとった。
「静雄!!今どこにいるの!?」
あわてた様子の新羅の声にいやな汗が流れる・・・。
まさか・・・臨也に何かあったのか・・・違うよな、違ってくれ!!
しかし、次に発せられた言葉は――――
「臨也が、意識不明の重体なんだ!今すぐ来てくれないかな!!!」


目の前が真っ暗になったような気がした。



(乱れる息を無視して俺は走り続けた)
 

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