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□幸せを
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門田視点


まったく、臨也も静雄も不器用だな・・・

泣く臨也を撫でてやりながら、俺は小さく苦笑いした。

静雄が、この部屋を出て行く瞬間の臨也の顔は、静雄を求めていた。


そして、静雄も・・・


本人たちは、気付いているだろうか?



お互いに同じ気持ちだということを・・・




「臨也・・・いつまで泣いてるんだ?」 「うう、勝手にでてヒック、るんだもん・・・」
「はぁ・・・」


いい加減分かっているだろうに・・・


臨也は、愛をいつも求めるくせに、同じくらい愛を恐れる。


好きだからこそ、静雄に優しくされるのが辛いのだろう・・・


静雄は、裏切ったりしないのに。


ぐりぐりと押し付ける頭を俺は、ぽんぽんとそっとたたいた。


「臨也、お前は、恐れる必要はない。」


ビクリ・・・

その言葉を聞いた臨也の肩がはねた。


正解らしい・・・


「臨也、静雄はお前の行動をきっと誤解してるぞ。それとも本気で静雄に触れられるのが嫌だったのか?」
「違う!!嫌じゃなかった・・・ただ・・・」



まるで捨てられた子猫のような表情になる臨也。


どうしたら良いかわからなくなった時に臨也は、この顔になる。


昔から変わらないな・・・



「どうせ優しくされるとそれがやめられなくなる。とか言うんだろ」
「!!ど、ドタチンどうしてわかったの?!」


ったく、


「何年間、近くでお前をみてると思ってるんだ。それくらい分かる」


・・・なんか

「まるで告白みたい。」

ふふっと臨也が笑う。

・・・一瞬心に思ったこと口に出していたかと思った。


「違う」
「分かってるよ。それにドタチンが言ったらお父さんみたい。あ、普通のね」

そう言っては、また笑った。


うん、こいつは笑顔のほうが似合う。


「ねぇ、ドタチン俺は、どうしたらいいのかな・・・?」
「言葉は、言わないと通じないぞ。」
「・・・だね。わかったよ、ドタチン」


少し迷ったあと臨也は、首を縦にふった――――――



あとは、彼らしだいだ――――――





どうか彼らが上手くいきますように・・・




 

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