タイトル名入力
□愛
1ページ/1ページ
いつの間にか、クルリとマイルは、眠っていていて、ドタチンが静かに近づいてくる。
「臨也、みんなお前のことを心配してたんだぞ」
わしわしと門田に頭を撫でられた臨也は、ぽかんとした。
どうして?
みんな俺を嫌ってるんじゃないの?
そして、周りをぐるっと見回し、目を見開いた。
「ココにいる、みんなが・・・?」
ぽつり、とこぼれた言葉にみんなは、苦笑いを浮かべた。
臨也は、わかっていないのだ・・・
たとえ、彼の両親が彼を嫌っていたとしても他のみんなが
臨也を愛していることに・・・
「臨也、お前がいなくなったら、沢山の人が悲しむだぞ。」
悲しむでくれる?・・・
ドタチンが言わんとしていることの意味を理解して、心が、゛ほわぁ″と温かくなった。
でも、今まで両親に存在を否定され続けたこともあり、素直に信じられない。
「で、でも、俺は・・・ば、化け物なんだよ?」
ぐしゃりと歪む臨也の顔。
痛々しい表情・・・。
「違う!!」
すぐさま、大きく叫ばれた声に、ビクッと臨也は、肩をゆらした。
この声は・・・
しずちゃん?
声がしたほうに顔を向ければ、少し怒った顔のしずちゃんと目があった。
ずんずんとこちらに歩いてくるしずちゃんが、近づくたびなぜか心臓がドクドグとせわしなくうごく。
「しずちゃん?」
「そんなこと言うんじゃねぇ。」
静雄は、みんなが見ているのを気にもとめず、優しく臨也を抱きしめた。
ああ、しずちゃんの香りがする。
余計に心臓がバクバクとうるさくなった。
「よく聞いとけよ。俺達は、お前のことを化け物だなんて、これっぽっちも思ってねぇ。たとえ、本当にそうだったにしても、俺は、認めねぇ。俺達は、お前の両親とは違うんだ。お前の本当の姿を見て言ってんだよ。」
「俺達は、お前のことが大好きなんだよ」
しずちゃんに抱きしめられて、ドタチンは、頭を撫でてくれて・・・
しずちゃんとドタチンの言葉が、心の中に染み渡るように広がった。
俺の周りには、たくさんの人がいたことに気が付いて・・・
あたたかいもので俺は、満たされていて
俺は・・・
静かに涙を零していた―――――
みんなから愛されていることを知りました