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□臨兄
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「臨兄!!」
「兄!(臨兄!)」



転がるようにして部屋の中に入ってきた2人は靴を履いたままで、しかも泥だらけで・・・




ここまで二人で一生懸命走ってきたんだとすぐにわかった。



どちらを置いていかないようにするためか、不安のためか・・・ガッチリと手を繋いでいた。



自然とみんなが臨也の場所を二人に譲っていく




「クルリにマイル・・・」


俺は、そんな二人の姿に少なからず驚いていた。



そして、
もし、兄妹この二人にまで臨也が嫌われていたら・・・


と思うとなかなか連絡出来ず後回しにしたまま忘れていたんだった・・・




・・・二人に連絡をしていなかったことに気づいた。




まさか、誰かに聞いて急いで走ってきたのか?


時計は夜中の2時を指していた。





「臨兄・・・起きてよう・・・」
「臨兄・・・起・・・時(臨兄、起きる時間)」


ゆさゆさと

必死に臨也の肩を揺らし、起こそうとする。



「臨兄ってばぁ・・・」
「起(起きて・・・)」



がくん、がくん、と
臨兄が揺れる。




「はやく・・・」
「ねぇ・・・てばぁ」



ペチペチと
頬を叩いたというには、優しすぎる音が・・・



静かなの部屋に響いた――――




俺達は、二人をただ見ていることしかできなかった。





「い、臨兄!約束したよね。私達を一人にしないって」
「臨兄、私達はおかしいから、私とマイル二人で一人だって言ったでしょ!!」
「だから、臨兄がいてくれないと・・・」

「「一人になっちゃうんだよ!!」」



ぼたぼたと、
雫が落ちていき、臨也の顔を濡らす





口調は、昔のおかしくなかった頃のものに戻っていた。



二人は・・・



「臨兄、臨兄は化け物なんかじゃないって!」
「だから、臨兄は、ここから居なくならなくていいんだよ」
「みんなが例え臨兄のことを化け物だって言っても私達が違うって言ってあげるから!!」
「私達には、臨兄しかいないんだから」
「臨兄がいないところなんて嫌だよ」




嗚咽をこらえて



流れていく涙を拭おうともせず



「臨兄、だから、起きて」
「私達のために起きて、臨兄」
「お願いだから、臨兄」



何度も何度も




「「大好きだから死なないで!!」」



「「臨兄!!」」





大好きな兄の名前を呼びつづけた

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