キリリク

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「しずちゃん、待って!!」


わけが、わからなかった。


どうして?俺は、何かしずちゃんを怒らせるようなことをしたの?



俺のほうを見向きもせず、しずちゃんは屋上から出て行ってしまった。


宙にに浮かぶ自分の手が虚しい・・・


好きと言うのは、恥ずかしいから、勇気をだして『付き合ってもいいよ』って言ったのに・・・


出ていくときに見えたあの嫌そうな拒絶するような、しずちゃんの顔。



臨也は、静雄のことを調べるので一杯であの自分の噂については、知らなかった。




さっきの告白は俺をきっとからかってたんだ・・・


そうじゃないとあの行動の理由がない。


ああ・・・失敗した。
本当にしずちゃんが俺のこと好きなわけがないのに・・・信じて取り返しのつかないことをした。


まさか付き合ってもいいよって返されるなんてしずちゃんは、思わなかったんだろうな・・・

俺のこと気持ち悪いって思ったかも・・・


明日から、目もあわしてくれなくなったらどうしよう・・・



ガクリと足から力が抜けペたりと座り込んでしまう。



一度想像してしまえば、嫌な想像が次々と溢れだして・・・止まらなかった。



ぐっと歯を食いしばり泣かないようにしたが、全然効果はなく、声は出ないもののボロボロと涙は、頬を伝った。







ぽすん。
誰かの大きい手の平が俺の頭を撫でた。


「どうしたんだ?大丈夫か?」


驚いて顔を上げると心配そうにしたドタチンの顔が、あった。


しずちゃんが、ドアを壊したおかげで音をたてることなく、入ることが出来たらしい・・・

それか、ただ単に自分が気付かなかったのか・・・


まぁ、そんなことどうだっていい。



ドタチンは、何も言わず泣く俺と無残に壊れたドアを見て、察したのか、「静雄か・・・」と呟いた。


ドタチンと新羅は、俺の思いを知っているから、すぐにわかったのだろう。




特にドタチンには、いろいろ相談している。



いまさら強がる必要は、ないだろう・・・



俺は、ドタチンに抱き着いてワァワァと泣いて・・・。




優しくドタチンは、背中を撫でてくれて、少しは気持ちを整えることができそうだった。







ふと目に、とまった無残に壊れたドアは、俺の心のようだ。と思った。

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