キリリク

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がちゃ

音を立てて、誰も使っていない屋上に入る。

日差しが、まともに当たって少し暑い。


「あのさぁ、しずちゃん・・・」

俺が、きちんとドアを閉めたのを確認してから、話しかけてきた。


「なんだ?」
「俺のこと本当に、好きなの?」

やっぱりこの話らしい。

顔が、赤くなるのがわかった。

自覚は、もちろんしているが、すきな相手の改めて言われると、なんだか恥ずかしく感じる。


・・・仕方ない。ここまで来たのなら覚悟をするしかない。

すう、と息を吸うと俺は、臨也を見つめた。



「・・・手前は、気持ち悪いとか、思うかもしんねぇが、俺は・・・お前のことが好きだ!!」


シーン


「ほんとだったんだ・・・」

臨也の呟きが小さくもれた。

俺は、いまだ臨也を見つめたまま。

臨也が、なんともいえないような表情をしていて・・・まったく感情が読めなかった。



まあ、たとえ臨也が、俺のことが嫌いだったとしてもあきらめてやるつもりは、ない。

そこらへんに転がっている安い恋と勘違いされては困る。



ドクドクとなる心臓が、うるさい。



「おい、臨也。お前は、どう思ってんだ
?」

「・・・・・・付き合ってあげてもいいよ」



一度も俺の目を見ずに、臨也は言った。


俺が、聞きたいのはそんなことじゃない!!!

付き合うか、付き合わないかではなく・・・好きか、嫌いかだ!!



頭の中に一つの噂を思い出した。

ふと、昔に聞いた臨也の噂・・・。



男女関係なく、好き嫌いなく、付き合うという・・・


あの噂は、本当だったのか・・・

あの噂を聞いたときは、ありえないと新羅と二人で笑い飛ばしたが・・・こうして実際に体験したら否定することなどできなかった。








ブチン―――――
何かが切れた音がした。




「もういい!!」

もう、何も聞きたくなくて・・・俺は、臨也に目もくれず屋上から出て行った。




「しずちゃん!!まって!!」


最後に聞こえた俺を引きとめようとした臨也の声は、きっと俺がつくりだした幻聴だろう。





無理やりに、あけたドアは、無残に壊れてしまった。





俺は、まだ臨也のことが好きだった。

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