薄桜鬼
□暖かい風
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「奏ー!!今暇か?」
巡察から戻ってそのままこちらに来たのか、浅葱色の羽織姿のまま私の部屋にやって来たのは平助君。
「どうぞ入って。」
「おー」
「それで、どうしたの?」
「奏、今日これから暇?」
「うん。空いてるよ」
「じゃあさ!!最近新作出した甘味処行こうぜ!今日は俺の奢りだからな!」
「ほんと!?あ、でも奢りなんて平助君に悪いよ…」
「俺だって幹部なんだから気にすんなって!んじゃ、俺着替えて来るから奏も準備終わったら玄関の所で待っててな!」
私に異論を唱えさせないまま、平助君は部屋に戻って行った。
風の様な人だ。
開いた襖を見つめながら、笑みを零し私も準備を始める。
彼はよくこうやって外に連れ出してくれる。そして楽しい話を聞かせてくれる。
今だって、「今日も巡察んときしんぱっつぁんがさぁー」と隣で私を飽きさせない様に様々な話をしてくれている。
それが私にはとても嬉しく、胸が暖かくなるのだ。
いつも永倉さんがネタにされてしまうのは性格故なのだろう。