薄桜鬼
□ずるいよ
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新しい年を迎え、何処を向いても新年の喜びの声が聞こえる一月。
それは人斬り集団と噂されるここ、新選組も例外ではなかった。
「奏〜!さっさと起きやがれっ正月だってのにいつまで寝てんだ!」
「…う〜、もうちょっと、静かにしてよ…頭痛い」
ドタドタと聞こえる足音と、スパンッと勢い良く開いた障子の音に顔をしかめる奏。
開かれた障子の外側から冷え切った空気が入り込み、余計蒲団の中に縮こまる。
これでも奏は
新選組唯一の女隊士だ。
「二日酔いだろ、だからあんなに早く寝ろつったのによ。つーか、あいつら皆の朝飯待たせてんだ。早く起きろ。千鶴ちゃんも待ってんぞ!」
「千鶴!?」
普段可愛がっている妹分の名前を出され、即座に反応し跳ね起きる。
「〜っ、いったぁ〜。ちょ、新八それを早く言ってよ!!あんたらを待たせるのは別にいいけど、千鶴を待たせてるなんて!!」
二日酔いの頭が痛むのか、頭を押さえて悶えてる奏に苦笑しながら新入りの千鶴と、幼馴染みと呼べる程付き合いの長い自分達の扱いの差に呆れつつ、新八と呼ばれた男は一足先に皆の元へと足を向けた。