薄桜鬼

□ずるいよ
1ページ/6ページ



新しい年を迎え、何処を向いても新年の喜びの声が聞こえる一月。

それは人斬り集団と噂されるここ、新選組も例外ではなかった。


「奏〜!さっさと起きやがれっ正月だってのにいつまで寝てんだ!」


「…う〜、もうちょっと、静かにしてよ…頭痛い」

ドタドタと聞こえる足音と、スパンッと勢い良く開いた障子の音に顔をしかめる奏。
開かれた障子の外側から冷え切った空気が入り込み、余計蒲団の中に縮こまる。

これでも奏は
新選組唯一の女隊士だ。

「二日酔いだろ、だからあんなに早く寝ろつったのによ。つーか、あいつら皆の朝飯待たせてんだ。早く起きろ。千鶴ちゃんも待ってんぞ!」

「千鶴!?」

普段可愛がっている妹分の名前を出され、即座に反応し跳ね起きる。

「〜っ、いったぁ〜。ちょ、新八それを早く言ってよ!!あんたらを待たせるのは別にいいけど、千鶴を待たせてるなんて!!」

二日酔いの頭が痛むのか、頭を押さえて悶えてる奏に苦笑しながら新入りの千鶴と、幼馴染みと呼べる程付き合いの長い自分達の扱いの差に呆れつつ、新八と呼ばれた男は一足先に皆の元へと足を向けた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ